AI導入の費用はいくら?相場と、予算を決める前に見る7つの判断軸
「AIを導入したいが、いくらかかるのか見当がつかない」
調べてみても月額数千円のツールから数千万円のシステム開発まで金額の幅が広すぎて、自社がどこに当てはまるのか判断できません。
この記事では、AI導入の費用相場を種類別に整理したうえで、なぜ同じ「AI導入」で金額が100倍も変わるのかを説明します。そのうえで、見積もりを取る前に自社で整理しておくべき7つの判断軸を示します。
実際に当社が手がけた案件の金額も交えて書いています。相場を知るだけでなく、自社が本当に払うべき金額の見当をつけられるところまで持っていきます。
見積もりを取ったが、金額が妥当か判断できない。
業務の見極めから実装の進行管理まで、
社外AX部が担います
- 手段を選べる立場から入る。特定のツールを売っていません
- 実装の進行管理まで引き受けます。提案だけで終わりません
- 置き換えない方がよいという結論も、そのままお出しします
無理な営業はいたしません。相談のみでも歓迎です
》【無料DL】『AI・自動化ツール 選定ガイド』|業務別の使い分け
AI導入の費用相場は?種類別に一覧で示します

AI導入の費用は、何をするかで桁が変わります。まずは全体像を押さえてください。
大きく3つに分かれます。
- 既存の生成AIツールをそのまま使う
- 業務に合わせてAIを組み込んだ自動化の仕組みを構築する
- 自社専用のAIシステムを開発する
下に行くほど費用が上がり、期間も長くなります。
| 種類 | 初期費用 | 導入後の費用 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 生成AIツールの利用 | 0円〜 | 月数千円〜数万円 | 即日 |
| 業務自動化の構築 | 30万円〜300万円 | 月数万円〜 | 1〜3ヶ月 |
| AIシステムの開発 | 300万円前後〜1,000万円規模 | 保守費は年額で初期費用の20%程度 | 3〜12ヶ月 |
生成AIツールの利用:月額数千円〜数万円
最も手軽なのが、既存の生成AIツールを契約して使う方法です。
ChatGPT や Claude の法人プランは、1ユーザーあたり月額3,000円前後が目安になります。10人で使えば月3万円です。初期費用はかかりません。
ただし、これは「ツールを配った」だけの状態です。実際に業務で使われるようになるかは別の問題です。配っただけでは、翌月から使われなくなることがあります。
業務自動化の構築:30万円〜300万円
特定の業務に合わせて、AIを組み込んだ仕組みを作る場合です。
請求書の処理、問い合わせの一次対応、資料の下書き生成といった単位で構築します。既存のツールを組み合わせて実現できることも多く、すべてをゼロから作る必要はありません。
費用は対象業務の複雑さで決まります。目安は次の通りです。
| 内容 | 費用 | 例 |
|---|---|---|
| 単一業務・既存ツールの組み合わせ | 30〜80万円 | 定型メールの自動振り分け、日報の要約 |
| 単一業務・条件分岐や例外処理あり | 80〜150万円 | 請求書の読み取りと仕訳の下書き |
| 複数システムをまたぐ | 150〜300万円 | 基幹システムと連携した在庫の自動発注 |
300万円前後になったら、次の「開発」の領域も視野に入れてください。
AIシステムの開発:300万円前後から1,000万円規模
自社専用のシステムとして開発する場合です。
当社が手がけた例では、エンジニア派遣会社の選考管理システムが280万円でした。面接の記録からスキルシートを自動で生成し、条件の合う企業を抽出して提案文まで作り、その後の選考進捗も管理する仕組みです。
画像認識や需要予測のように学習データの整備が必要になると、1,000万円規模になることもあります。
AIの種類別では費用がどう違う?チャットボットと画像認識で桁が変わります

ここまでは実現方法ごとの相場でした。もう1つ、何をするAIかによっても金額は動きます。
相談の多い4つの用途を、先ほどの3つの型に当てはめて並べます。
| AIの種類 | 用途の例 | 当てはまる型 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 文書生成・要約 | 議事録の要約、資料の下書き | ツール利用 | 月数千円〜数万円 |
| チャットボット | 問い合わせの一次対応 | ツール利用〜業務自動化 | 月数万円〜/構築30〜300万円 |
| 音声認識 | 通話の文字起こし、応対記録の作成 | ツール利用〜業務自動化 | 月数万円〜/構築30〜300万円 |
| 画像認識・需要予測 | 外観検査、発注量の算出 | システム開発 | 300万円〜 |
上の3つと下の1つの間に線があります。学習させるデータを自前で用意するかどうかが分かれ目です。
チャットボットと文書生成は、既存サービスの組み合わせで足りることが多い
言葉を扱う用途は、種類の中では安く実現できる領域です。
理由は、生成AIのサービス側に社内の文書を読み込ませる機能が用意されているためです。問い合わせ対応であれば、マニュアルやFAQを読み込ませるだけで一次回答が返せる状態まで届きます。
実際に費用がかさむのは、AIではなく読み込ませる文書の側です。内容が古い、部署ごとに書式が違う、そもそも文書になっていない。この整備に時間がかかります。
この領域で見積もりが高く出たら、社内文書の整備にかかる分を数えていると考えてください。
画像認識と需要予測は、学習データの整備で費用が決まる
外観検査では、不良品の画像を集めて印を付ける作業が必要です。需要予測では、過去の実績を数年分そろえます。数字や画像を扱う用途が開発の領域に入るのは、こうした自社のデータで判定の精度を作り込む必要があるためです。
必要な精度に届くかどうかは、実際に学習させるまで分かりません。検証の期間そのものが費用に乗るのはこのためです。
この領域を検討するなら、データが手元にそろっているかを先に確認してください。そろっていない場合、費用の見当をつける段階にまだ立てていません。
費用の内訳は?初期費用とランニングに分けて考える

金額の総額だけを見ていると、あとで予算が足りなくなります。
AI導入の費用は、次の3つに分解できます。
- 初期費用(要件定義・構築・教育)
- ランニングコスト(ツール利用料・保守)
- 社内の人件費
3つ目を見落とす企業がとても多い。順に説明します。
初期費用の内訳は要件定義・構築・教育の3つ
初期費用は、大きく3つの工程に分かれます。
- 要件定義:どの業務をどう変えるかを決める。全体の20〜30%
- 構築・実装:実際に作る。全体の50〜60%
- 教育・定着支援:現場が使えるようにする。全体の10〜20%
構築の割合が最も大きいのは当然ですが、注目してほしいのは要件定義です。ここが全体の4分の1を占めます。
「作る前の話し合いにそんなにかかるのか」と思われるかもしれません。しかし要件定義を削った案件ほど、あとで作り直しになります。詳しくは後述します。
ランニングコストはツール利用料と保守で決まる
導入した後も費用は発生し続けます。
内訳は2つです。
- ツール利用料:APIの従量課金、SaaSの月額。処理量に比例する
- 保守費用:不具合対応、仕様変更への追従、問い合わせ対応
保守費用の目安は、初期費用の20%程度です。280万円で構築したシステムなら、年間56万円、月あたり約4.7万円になります。
この金額を初年度の予算に入れておかないと、2年目に「聞いていない」となります。
見落とされるのは社内の人件費
見積書に載らない費用があります。自社の担当者が使う時間です。
発生するのは次のような時間です。
- 要件定義の打ち合わせ
- 業務内容の説明
- テストへの立ち会い
- 現場への説明
これらは外注費に含まれませんが、確実に発生します。
3ヶ月のプロジェクトで、担当者が週5時間関わったとします。60時間です。時間単価3,000円で計算すれば18万円分の工数がかかっている計算になります。
この時間を確保できないと、外注費をいくら払ってもプロジェクトは進みません。金額よりも、担当者を置けるかどうかの方が重要な場合すらあります。
なぜ同じ「AI導入」で金額が100倍変わる?分かれ目は使うか作るかです

ここまでで、月数千円から1,000万円規模までの幅があることを見てきました。
この差はどこから来るのか。答えは単純です。既存のものを使うか、作るかの違いです。
「既存ツールを使う」か「作る」かで桁が変わる
同じ「請求書処理をAIで効率化したい」という要望でも、実現方法は2つあります。
| 既存ツールを使う | 作る | |
|---|---|---|
| 費用 | 月数万円 | 30〜300万円 |
| 期間 | 即日〜1週間 | 1〜3ヶ月 |
| 自由度 | ツールの機能の範囲内 | 業務に完全に合わせられる |
| 業務側の調整 | 必要(ツールに業務を合わせる) | 不要 |
費用の差は100倍近くになります。しかし、この2つは優劣の関係ではありません。
既存ツールで済むなら、それが最も速くて安い。作る必要があるのは、ツールでは埋まらない差がある場合だけです。
判断の順序を間違えないでください。先に「作る」と決めてしまうと、既存ツールで足りたかどうかを検証する機会がなくなります。まずツールで試し、埋まらない差が出てから作る。この順で進めれば、投じる金額は必要な分だけで済みます。
開発が必要になるのは3つのケースだけ
では、どういうときに作る必要があるのか。当社の経験では、次の3つに限られます。
- 既存システムとの連携が必要:基幹システムのデータを直接読み書きする必要がある
- 業務フローが特殊で、標準ツールに合わせられない:業界固有の商習慣や、複数部署をまたぐ承認フローがある
- 処理量が多く、従量課金では割に合わない:月間数万件を超えると、自前で持つ方が安くなる場合がある
この3つに当てはまらないなら、まず既存ツールで試すべきです。
先ほど例に挙げた280万円の選考管理システムは、1つ目と2つ目に当てはまりました。既存の採用管理システムとの連携が必要で、かつスキルシートの様式が業界固有だったためです。
逆に言えば、この条件を満たさない業務に数百万円を投じるのは過剰投資です。開発会社に相談すれば作る前提の提案が返ってきますが、そもそも作る必要があるかは別の話です。
AIのコストが高く見えるのは、AI本体ではなく作り込みに払っているから
「AIはお金がかかる」と言われますが、高いのはAIそのものではありません。
AIの利用料は、文章の要約や分類といった処理であれば1件あたり数円の水準です。月に1万件処理しても数万円です。それでも総額が数百万円になるのは、次の部分に人が入るためです。
- どの業務をどう変えるかを決める要件定義
- 既存システムとつなぐための調査と実装
- 社内データを使える形に整える作業
- 想定した精度が出るかを確かめる検証
つまり、払っているのはAIの料金ではなく、自社の業務にAIを合わせる作業の費用です。この見方ができると、見積もりのどこを削れるかも判断できるようになります。
予算を決める前に何を整理する?7つの判断軸で埋まります

見積もりを取る前に、自社で決めておくべきことがあります。
ここが曖昧なまま複数社に相談すると、各社バラバラの前提で見積もりが出てきて比較できません。金額の差が「提案内容の差」なのか「前提の差」なのか判別できなくなります。
以下の7つを先に整理してください。
1. 目的が業務削減か売上向上かで予算の性格が変わる
まず、何のためにAIを入れるのかを一言で決めます。
- 業務削減:削減できる人件費が予算の上限になる
- 売上向上:見込める増収額から逆算する
この2つでは予算の考え方がまったく違います。業務削減なら「年間いくら浮くか」が天井です。年間200万円の工数が浮くなら、300万円の投資を単純計算で回収するには1年半です。実際の回収期間は、運用費も含めて後の「費用対効果」の章で計算します。
売上向上の場合は上限が読みにくいため、まず小さく試して効果を測るのが定石です。
2. 対象業務の年間工数を先に測る
次に、対象となる業務に年間何時間かけているかを測ります。
「月に何件、1件あたり何分」の形で出せば十分です。月200件×15分なら月50時間、年間600時間。時間単価3,000円なら年間180万円の業務ということになります。
この年間180万円が、見積もりを評価する基準になります。上司に予算を説明するときも、月間の件数と1件あたりの時間から示せます。数字が手元にない場合は、対象業務の工数を測るところから始めてください。
3. 既存システムとの連携要否を確認する

基幹システムや既存のSaaSと繋ぐ必要があるかを確認します。
連携が必要な場合、費用は1.5倍から2倍になると考えてください。相手側のAPIが公開されているか、データの取り出し方に制約はないか、といった調査が発生するためです。
連携先のベンダーに問い合わせが必要になることもあり、そこで数週間止まる場合もあります。
4. データが揃っているかで費用が数倍変わる
AIに学習させる、あるいは参照させるデータの状態を確認します。
- 電子化されているか(紙やPDFのままではないか)
- 形式が揃っているか(部署ごとにバラバラではないか)
- 過去分がどこまで遡れるか
データ整備だけで初期費用の3割を使う案件もあります。ここが整っていない状態で見積もりを取ると、後から追加費用が発生します。
見積もりを依頼する時点で、データの状態を正直に伝えてください。
5. 運用を見る人が社内にいないと、動いても使われなくなる
導入した後、誰が面倒を見るのかを決めます。
ここが決まっていないと、動くけれど使われないシステムができあがります。
必要なのは専任者ではありません。次の3つを担える人が1人いれば足ります。
- 例外が出たときに判断する
- 使い方を新しいメンバーに教える
- 改善点を溜めて定期的に見直す
担当者を置けないなら、運用込みで外部に任せる前提で予算を組んでください。その分の費用が上乗せになります。
6. 初めての導入なら段階導入を選ぶ。失敗したときに戻せる

一度に全部やるか、小さく始めて広げるかを決めます。
| 一括導入 | 段階導入 | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 高い | 低い |
| 総額 | 安く済むことが多い | やや高くなる |
| 失敗時の損失 | 大きい | 小さい |
| 効果が出るまで | 遅い | 早い |
初めてAIを導入する場合は、段階導入を勧めます。総額はやや高くなりますが、最初の1つで効果を確認してから広げられます。
一括導入が向くのは、対象業務が明確で、社内にAI導入の経験がある場合です。前例がない状態で全社展開に踏み切ると、失敗したときに撤退できません。
7. 回収期間は3年以内に置く。5年計画は途中で前提が変わる
最後に、投資をいつまでに回収するかを決めます。
目安は3年以内です。AI関連の技術は変化が速く、3年後には前提が変わっている可能性があります。5年で回収する計画は、途中で作り直しになるリスクを抱えることになります。
年間180万円の工数がかかる業務でも、3年分の540万円がそのまま投資の上限にはなりません。実際に減らせる割合で年間削減額を出し、導入と運用にかかる総額がその3年分に収まるかで判断します(計算は次の章)。
回収期間が3年を超えそうなら、対象業務を絞った場合の初期費用と削減額を出し直してください。その数字で、3年以内に収まるかを判断します。
費用対効果はどう計算する?3ステップで出せます

先ほど出した年間工数を使って、投資に見合うかを確かめます。費用対効果はROIとも呼ばれます。削減できる工数を金額に直し、導入・運用費と比べて回収期間を出します。
- 削減できる工数を金額に直す
- 導入と運用にかかる総額を出す
- 回収期間を計算する
削減できる工数を時間単価で金額に直す
先ほどの年間180万円は、対象業務全体にかかっている人件費です。ここでは、そのうちAIで減らせる分を計算します。年間600時間の工数に削減率60%をかけると360時間、時間単価3,000円で換算すると年間108万円です。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 月間の処理件数 | 200件 |
| 1件あたりの作業時間 | 15分 |
| 月間の工数 | 50時間 |
| 年間の工数 | 600時間 |
| 削減率 | 60% |
| 年間の削減工数 | 360時間 |
| 時間単価 | 3,000円 |
| 年間の削減額 | 108万円 |
削減率を100%で見積もらないことが重要です。AIが処理できない例外は残るので、上の表では削減率を60%と置きました。自社の業務で例外がどれだけ出るかを数えて、削減率を置き直してください。
時間単価は、担当者の給与に社会保険料などを加えた金額で置きます。給与だけで計算すると、削減額を低く見積もることになります。
この表をそのまま社内資料に転記できる形で作っておくと、稟議の場で前提を聞かれたときに答えられます。
回収期間は3年以内を目安にする
次に、総額を出して割ります。
初期費用280万円、保守が年56万円の案件で考えます。年間の削減額が108万円なら、次のようになります。
- 1年目:280万円 + 56万円 = 336万円の支出、108万円の削減
- 2年目以降:56万円の支出、108万円の削減。年52万円のプラス
単純に計算すると、回収できるのは6年目です。この案件は工数削減だけでは正当化できません。
先ほどの例が成立したのは、削減効果に加えて提案件数そのものが増えたためです。売上向上が乗って初めて3年以内に収まりました。
工数削減だけを根拠にするなら、年間削減額の3倍以内に総額を抑える必要があります。
運用・保守にいくらかかるか?ここを見落とすと止まる

回収期間の計算に入れた保守費用で、どこまで対応してもらえるのでしょうか。導入後の予算を組むには、金額に加えて保守の範囲と社内の運用手順も確認する必要があります。
保守費用は初期費用の20%が目安
先ほどの試算では、280万円の構築費に対して年間56万円の保守費用を見込みました。目安は初期費用の20%程度ですが、対応範囲によって前後します。見積もりでは、次の作業が含まれているかを確認してください。
- 不具合の修正
- 仕様変更への追従(法改正、取引先のフォーマット変更など)
- 利用しているAIモデルの更新対応
- 問い合わせ対応
3つ目を軽く見ないでください。生成AIのモデルは年単位で切り替わります。古いモデルが提供終了になれば、動いていたものが動かなくなります。
使われなくなる原因は費用ではなく運用設計
保守費用を払っていても、システムが使われなくなることがあります。
原因は技術ではありません。次のような理由です。
- 使い方を知っている担当者が異動した
- 例外パターンが出たときの対処が決まっていない
- 手作業に戻した方が早い場面があり、そこから元に戻った
こうした事態に備え、担当者が替わっても対応できるように、誰が何をするかを運用手順として書き残します。運用手順書の作成は開発の見積もりに含まれていないことがあるので、契約前に作成まで依頼できるかを確認してください。
中小企業はいくらから始められる?予算別にできることを示します

ここまでの内容を、予算別に整理します。
自社がどの段階にいるかを確認してください。
| 費用の目安 | できること | 向いている状態 |
|---|---|---|
| 月数千円〜数万円 | 既存ツールを使う | 何から手をつけるか自分で判断できる |
| 無料診断(初回60分と次回の提案書まで無料) | 判断を外部に相談する | 何をすべきか分からない |
| 個別にお見積り | 業務設計や導入準備を任せる | やることは決まっているが手が足りない |
| 開発費で数百万円〜 | 仕組みを作る | 既存ツールでは埋まらない差がある |
月数千円〜数万円:ツール利用料だけで自力でやる
最も安く始める方法は、生成AIツールを契約して自社で使いこなすことです。
10人でChatGPTの法人プランを使えば月3万円程度です。この範囲でも、資料の下書きや議事録の整理は十分できます。
ただし条件があります。社内に、何をAIに任せるかを判断できる人がいることです。ツールを配っただけで業務が変わることはありません。
判断できる人がいないまま契約すると、「誰も使っていない」状態になるおそれがあります。
判断だけを外部に相談する
「何から手をつければいいか分からない」という状態なら、判断だけを外部に置く方法があります。
当社では、初回60分のヒアリングと、次回の提案書のご説明までを、無料診断として行っています。業務の流れと課題を伺い、改善案と、効果の試算、体制と費用をまとめた提案書をお渡しします。手は動かしません。判断を支えるだけです。
判断を整理する段階と、実務を任せる段階を分けておくと、相談を始めやすくなります。何をAIに任せるかの中身を決めてから、契約するかどうかを判断できるためです。
実務ごと任せる:業務設計や導入準備

やることが決まっていて、手が足りない場合は実務ごと任せる形になります。
当社の社外AX部は、業務の整理から実装・定着までを、コンサルタントとエンジニア、または一貫して担うエンジニア(FDE)の体制で進めます。
当社の社外AX部は、固定支援料と、合意した改善価値(費用控除後)に応じた追加精算を組み合わせます。固定支援料は、成果の大小にかかわらず、支援の対価として発生します。金額は、対象業務と体制によって変わるため、提案書で個別にお示しします。
任せる範囲と、社内に残す判断は、最初に決めます。現場を動かすのは社内の人でなければ、導入後に運用が続かないため、現場で使われる状態になるまでを確かめます。
補助金を使えば最大450万円が戻る
自己資金だけで考える必要はありません。
2026年度から、IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました(出典:中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の概要」)。
| 項目 | 内容(通常枠) |
|---|---|
| 補助額 | 1〜3プロセスは5万円以上150万円未満、4プロセス以上は150万円以上450万円以下 |
| 補助率 | 1/2以内。最低賃金に近い賃金で雇う従業員が3割以上などの条件を満たすと2/3以内 |
| 対象 | IT導入支援事業者が登録したツール |
注意点が1つあります。補助対象になるのは、IT導入支援事業者として登録された事業者が、登録済みのツールで申請したものだけです。どんなAI導入でも使えるわけではありません。
検討している導入内容が対象になるかは、事前に確認してください。
費用を抑える方法は?やってはいけない削り方もあります

最後に、費用を抑える方法を整理します。
ただし、削ってはいけない部分があります。そこから先に説明します。
要件定義を削るとかえって高くつく
見積もりを下げたいとき、最初に削られやすいのが要件定義です。
「仕様はこちらで固めるので、作るところだけお願いしたい」という進め方です。一見すると合理的に見えます。
しかし、これはかえって高くつきます。
理由は単純で、業務を理解しないまま作ったものは使えないからです。作り直しになれば、削った分より高くつきます。当社が相談を受けた失敗案件にも、この形がありました。
要件定義は全体の20〜30%を占めますが、ここを削るくらいなら対象業務を減らす方が合理的です。
スモールスタートで検証してから広げる
段階導入で得た効果は、次の導入を社内で説明する材料にもなります。まず1つの業務を1つの部署で試し、効果を確認してから広げます。
- 初期費用を小さく抑えられる
- 失敗した場合も損失を限定できる
- 早く得られた効果を社内の説得材料にできる
総額はやや高くなりますが、初めての導入では次の投資を判断する根拠を得ながら進められます。
一度に全社展開して失敗すると、「AIは使えない」という空気が残ります。この空気を消すのに数年かかることもあります。
見積もりは同じ前提で3社に出す。前提が違うと金額を比べられない
もう1つ、発注のやり方で費用は変わります。
同じ資料を3社に渡してください。対象業務と月間の件数、連携が必要なシステム、データの状態。この4点を書面にして揃えるだけで、返ってくる見積もりが比較できる形になります。
前提を伝えずに集めると、安い見積もりは範囲が狭いだけの提案です。金額の差が提案の差なのか前提の差なのか読めないまま、安い方を選ぶことになります。
選定で見るべきは金額よりも、なぜその金額になるのかを説明できるかです。内訳を工程ごとに出せない開発会社は、後から追加費用が出ます。
AI導入の費用に関するよくある質問

Q. 見積もりを取る前に何を準備すればよいですか
対象業務の年間工数(月間の件数と1件あたりの時間)、既存システムとの連携要否、データの状態の3つです。この3つがあれば、各社から比較可能な見積もりが出てきます。
Q. 相見積もりは何社取るべきですか
3社程度が目安です。各社に同じ資料を渡し、見積もりが届いたら工程ごとの内訳と金額の理由を確認します。
Q. 月額のツールと開発、どちらが安いですか
処理量によります。月間数千件までなら月額ツールが安く、数万件を超えると自前で持つ方が安くなる場合があります。ただし損益分岐点は業務内容で変わるため、実際の件数で試算してください。
Q. AIを導入すれば人を減らせますか
短期的には減りません。AIが処理できない例外が残るため、その対応に人が必要です。現実的な効果は「同じ人数で処理量を増やせる」「残業が減る」という形で現れます。
Q. AI導入の費用はどの勘定科目で処理しますか
契約の形で変わります。SaaSの月額利用料は支払った期の費用として処理するのが一般的で、自社向けに開発したシステムは資産に計上して複数年で償却する扱いになることがあります。単年度の損益に与える影響が変わるため、金額の大きい案件は発注前に顧問税理士へ確認してください。
Q. AIの維持費は年間いくら見ておけばよいですか
構築したシステムであれば、初期費用の20%程度が目安です。ツールを契約して使うだけなら、維持費は月額の利用料と処理量に応じた従量課金だけになります。どちらの形で導入するかで、2年目以降の負担はまったく違います。
Q. 補助金は必ず使えますか
必ず使えるとは限りません。対象になるのは、IT導入支援事業者が登録したツールでの申請だけです。加えて審査があるため、申請しても採択されない場合があります。補助金前提で予算を組むのは避けてください。
まとめ:金額の前に、作るべきかを決める

AI導入の費用を整理してきました。要点は3つです。
費用は「使う」か「作る」かで100倍変わります。まず自社がどちらなのかを決めてください。作る必要があるのは次の3つのケースだけです。
- 既存システムとの連携が必要
- 業務フローが特殊で標準ツールに合わせられない
- 処理量が多く従量課金では割に合わない
初期費用だけで判断しないでください。保守費用は初期費用の20%程度が毎年かかります。見積書に載らない社内の人件費も発生します。
見積もりを取る前に、7つの判断軸を自社で埋めてください。ここが曖昧なまま相談すると、各社バラバラの前提で見積もりが出てきて比較できません。
金額を調べる前に決めるべきことがあります。そもそも作る必要があるのか、という問いです。開発会社に相談すれば作る前提の答えが返ってきます。判断はその前に済ませておくべきです。
業務の設計をどこまで変えるか迷う場合は、AXとは?DXとの違いと自社でやる範囲を決める5つの問いも整理の参考になります。
AI導入が成果につながらない原因を、60分で整理します
「効率化はしたが人は減っていない」という状態には、必ず構造的な原因があります。御社の状況をうかがったうえで、どこから手をつけるべきかをその場でお伝えします。
無理な営業はいたしません。相談のみでも歓迎です
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