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生成AIガイドラインとは?社内ルールに書く5項目とひな形

目次

上司に「生成AIの社内ガイドラインを作って」と言われ、検索すると学校や自治体の資料ばかり。どれを会社用に書き換えればよいか迷っているなら、日本ディープラーニング協会のひな形が出発点になります。対象サービスや禁止用途などの【】を自社の言葉で埋め、入力する情報と生成物の扱いを整えれば、第1版を作れます。この記事では国や自治体の指針の対象を整理したうえで、社内ルールに書く5項目と埋め方を説明します。配布前に何を決めるかまで、手元の文書に落とし込んでいきましょう。

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生成AIガイドラインとは?社員が生成AIを使うときの社内ルール

会社で作る生成AIガイドラインは、社員が業務で使える範囲と注意事項を示す文書です。日本ディープラーニング協会のひな形も、業務で利用する際の注意を伝える目的で作られています。まずは国の指針との役割の違いと、社内ルールで扱う場面を押さえます。

「国の指針」と「社内のルール」の2種類がある

資料を探すときは、国が示す指針と、自社の社員に配る利用ルールを分けて考えると整理できます。前者は対象となる事業者や行政機関などに向けたもの。後者には、自社で何を使ってよいかという具体的な決まりが必要です。国や自治体の文書名に「生成AI」とあっても、そのまま社員向けに配れるとは限りません。

日本ディープラーニング協会は、民間企業や各種組織が加筆修正して使うひな形を公開しています。以下では協会をJDLAと略します。社内文書の土台にはひな形を使い、国の指針は考え方を押さえるために読むと、資料探しから執筆へ進めます。

(出典:JDLA資料室「生成AIの利用ガイドライン」)

社内ルールがないと起きること:入力と生成物の2か所

「機密情報を入れない」とだけ書いても、生成AIが返した文章をどう使うかは決まりません。JDLAのひな形は、注意事項をデータの入力時と生成物の利用時に分けています。生成物とは、AIが出力した文章や画像などのことです。

  • 入力時は、どの情報を送ってよいかを社員が判断できるようにします。
  • 利用時は、出力の根拠や権利上の問題を誰が調べるかを決めます。

ひな形は、入力内容や生成物の利用方法によって法令違反や権利侵害が起こり得ると述べています。入力を制限する条文と、出力を業務に使う前の点検を一組にしておけば、社員が自己判断で進める範囲を減らせます。

国や自治体の生成AIガイドラインは誰向けか

検索結果に並ぶ指針は、対象とする人や業務が異なります。会社のルール作成では、発行元の名前に加えて「誰が使う文書か」を見て選びます。事業者向けの指針と行政・学校向けの資料を分け、借りられる考え方を絞りましょう。

総務省・経済産業省:事業者向けのAI事業者ガイドライン

事業者向けの国の指針を探す場合は、総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインが参照先です。AIを利用する事業者向けの事項もあるため、自社が利用者として何に取り組むかを整理する入口になります。詳しい読み方はAI事業者ガイドラインとは?中小企業が守る利用者の7項目で扱っています。

社内文書を作る担当者は、そこで押さえた事項を社員の動作へ置き換えます。「適切に利用する」という方針だけで終えず、使えるサービスと入力できる情報を記載してください。

デジタル庁:行政機関の調達・利活用のガイドライン

デジタル庁の掲載資料は「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」です。掲載ページによると、第2.0版は2026年6月12日に決定されました。

政府の行政機関に向けた資料なので、民間企業の社員用ひな形とは使う場面が違います。掲載ページには編集用ファイルもありますが、社員用の文書へ移す前に対象の違いを押さえてください。まず配布先を見て、会社の第1版にはJDLAのひな形を選びます。

(出典:デジタル庁・第2.0版の掲載ページ)

文部科学省・東京都:学校と都庁の職員向け

文部科学省のガイドラインは初等中等教育向けで、Ver.2.0の公表日は2024年12月26日です。会社で参考にする際も、学校の場面や利用者に応じた留意点を、社員の業務にそのまま当てはめないようにします。

東京都の「生成AI利用の手引き」は都職員向けです。機密性の高い情報の扱いと回答の裏付けに加え、著作権の点検と対外使用時の明記を4点にまとめています。注意のまとめ方は、会社でも参考になります。手引き自身もJDLAの利用ガイドラインを参照先に挙げています。

(出典:文部科学省「生成AIの利用について」、東京都「生成AI利用の手引き」掲載ページ)

各団体の指針の比較表

JDLAの「生成AI開発契約ガイドライン」はシステム開発を外部に委託する際の契約向けです。社員の利用ルールを作る際は、表の最後にある「生成AIの利用ガイドライン」を選びます。各資料の会社での使い方は、次のように分けられます。

発行元・資料 対象 会社での使い方
総務省・経済産業省/AI事業者ガイドライン AIに関わる事業者 利用者向けの事項を読む
デジタル庁/調達・利活用のガイドライン 政府の行政機関 社員用ひな形とは区別する
文部科学省/利活用のガイドライン 初等中等教育の学校現場 学校特有の前提を会社に持ち込まない
東京都/生成AI利用の手引き 都庁の職員 利用場面ごとに注意をまとめる構成を参考にする
JDLA/生成AIの利用ガイドライン 民間企業・各種組織 自社の条件を記入する土台にする
国と自治体の生成AIガイドラインの対象の違い

社内の生成AIガイドラインに書く5項目

参照する資料が決まったら、社員に伝える中身を組み立てます。JDLAのひな形に沿って、対象・禁止用途・入力・生成物・問い合わせ先の順に整理します。問い合わせ先には見直しの時期も添え、運用を始めてから更新できる文書にします。次の5項目を社内の利用ガイドラインの骨格にしてください。

社内の生成AIガイドラインに書く5項目

項目1 対象にする生成AIを決める

最初に、会社が業務利用を認めるサービスを列挙します。JDLAの解説は、使ってよいものを指定する「ホワイトリスト方式」を勧めています。サービスの構造や処理内容によって法的リスクが異なるためです。

社内用の一覧にはサービス名に加え、会社で認めた契約・利用環境を特定できる情報を添えます。同じ名前でも、社員が個人で使う環境まで許可したと読める書き方は避けたいところです。

対象外のサービスを使いたい場合の申請先も、同じ箇所に置いてください。使えるサービスの一覧と、追加を相談する窓口を一緒に示すと、社員が新しいサービスを見つけたときの動きも決まります。

項目2 禁止する用途を決める

禁止用途を書く際は、業務名と禁止する行為をそろえます。JDLAの解説は、その用途での生成AI利用そのものを禁じる場合と、生成AIのみで作った生成物を禁じる場合を分けて示すよう勧めています。

例えば社内で「顧客への回答」を制限するなら、次のどちらを採るかを決めます。

  • 回答案の作成を含め、その業務では生成AIを使わない。
  • 回答案の作成には使えるが、人が内容を点検せずに顧客へ送らない。

単に「顧客対応は禁止」と書くと、下書きまで禁じるのかが曖昧です。許可する作業が残る場合は、その範囲も同じ条文に記載します。入力の制限は次の項目と併せて適用してください。

項目3 入力してはいけない情報を6種類で示す

JDLAが挙げるのは、入力時に注意すべき次の6種類です。すべてを法律上の入力禁止とする一覧ではありません。まず資料の区別を押さえ、自社で禁止する範囲を条文にします。

情報の種類 ひな形が示す入力時の扱い
他人の著作物 単なる入力は原則として著作権侵害に当たらないが、同一・類似の生成物を作る目的では侵害の可能性がある
登録商標・意匠 ロゴやデザインの入力は商標権・意匠権侵害に当たらない。生成物の利用は別に調べる
著名人の顔写真や氏名 入力と生成物の商用利用を分けて扱う。生成物を商用利用する際の権利侵害に注意する
個人情報 ひな形では入力を禁止し、利用条件による例外は窓口へ問い合わせる形にしている
他社の秘密情報 秘密保持義務を負う情報は、契約に反する可能性があるため入力を禁止している
自社の機密情報 処理や規約次第で法的保護や特許出願に影響するリスクがあるため入力を禁止している

著作物について、ひな形は出力側の権利侵害を避けるため、既存著作物や作家名などを入力しないという慎重なルールも置いています。入力行為の法的な説明と、会社が採る利用ルールを混同しないでください。

禁止する情報には、自社の資料名を添えます。例えば「顧客の氏名・住所を含む名簿」「秘密保持義務のある取引先仕様書」と書けば、手元の資料と照らせます。個人情報を入力する前に確かめる点と、入力してしまったときの手順はAIと個人情報の記事で扱っています。

生成AIの社内ルールを確認する担当者

項目4 生成物を使うときの5つの注意

入力の条件を守っても、出力をそのまま業務に使えるとは限りません。JDLAのひな形は、生成物の利用時に次の5点を挙げています。社内文書には、各項目で社員が行う点検まで書きます。

注意点 利用前に行うこと
虚偽を含む可能性 根拠や裏付けを自ら調べる
既存の権利を侵害する可能性 既存の著作物との類似や、用途に応じた登録商標・意匠を調査する
著作権が発生しない可能性 人の創作上の関わりが論点となるため、そのままの利用を極力避けて加筆・修正する
商用利用できない可能性 利用規約でビジネスへの利用条件を読む
サービス独自の制限 サービスが定める利用上のルールを読む

加筆すれば必ず著作権が生まれる、という保証に書き換えないでください。ひな形は人間の「創作的寄与」の有無で結論が分かれると説明しています。

例えば社外向け文書では、作成担当が根拠資料を添え、業務の責任者が利用の可否を判断する手順にします。誤った出力を見つける確認の分け方は、ハルシネーション対策の記事にまとめています。

項目5 問い合わせ先と見直しの時期を書く

ひな形にある「セキュリティ部門」は、その名前の部署を新設する指示ではありません。JDLAの解説も、既存の体制に応じて法務部門や経営層などとの連携を考えるとしています。自社で質問を受け取れる部署名と連絡方法に置き換えます。

総務が窓口になるなら、規約や権利の相談を誰につなぐかも社内で決めてください。受付先だけ決めて回答する人がいない状態を防ぎます。

文書の末尾には制定日と改訂日を置き、次に見直す時期を記入します。あわせてサービス追加や利用条件の変更があった場合も見直す、と定めます。定期の点検日と臨時に見直すきっかけを両方残す形です。

会社としての見直しの手順はAIガバナンスを解説した記事で扱っています。

\どの業務で生成AIを使うかを先に書き出すと、対象と禁止用途を決めやすくなります。そのための様式です/

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JDLAのひな形を埋めて第1版を作る

5項目を理解したら、サンプルとなるひな形を社内配布用の文書へ変えていきます。先に関係部署と話したい内容を空欄の横にメモし、決まった箇所から本文へ反映してください。未決定の項目は担当部署に判断を求めます。

ひな形は2種類。条項のみと簡易解説付

JDLA資料室の利用ガイドラインには「条項のみ」と「簡易解説付」があります。この記事で扱うのは、2023年10月公開の第1.1版です。まず簡易解説付で理由や条件を読み、社内配布用の編集には条項のみ版を使います。

解説は、自社で禁止範囲を選ぶ際の手がかりになります。編集時は両方を開き、条文の意味を変えていないかを解説に戻って点検してください。

資料室には画像編もあります。画像を扱う部署がある場合は、配布先に応じて追加で読む資料として控えます。

【】の中を自社の言葉に置き換える

ひな形の前文は、既存のデータの取扱方針などと整合させて加筆修正するよう求めています。会社名の差し替えに続けて、次の欄を埋めます。

ひな形の欄 社内用に書く内容
【(例)会社】 自社の名称と適用する業務を書く
【(例)ChatGPT】や対象サービスの欄 業務利用を認めたサービス・利用環境を書く
禁止用途の空欄 禁止する業務と行為を具体的に書く
【セキュリティ部門】 実際に受け付ける部署名と連絡方法を書く

入力の条文には、自社の情報管理規程で使う区分名と具体例を足します。既存規程が「社外秘」と呼ぶ情報を、新しい文書だけ別の呼び名にしないことも点検対象です。

空欄を埋めた後は、既存規程との食い違いを読んで直すところまでが第1版の作業です。判断待ちの欄は配布前に担当部署へ渡し、回答を反映してから例示や編集用のメモを取り除きます。

2023年版のままでは古い部分がある

ひな形に書かれた当時の学習設定や利用条件を、現在のサービスにも当てはまる前提で残さないでください。特に個人情報の項は、入力データの学習利用などを前提に説明されています。商用利用やサービス独自の制限にも、当時の具体例があります。

これらは利用中のサービスの現在の規約で確かめる箇所です。規約を読む担当者は、対象の契約と利用環境を先に特定します。個人情報の扱いは、ひな形の解説でも法務部門との連携が必要とされています。

古い説明を削るだけで入力を許可したことにせず、採用する社内ルールを決めて書き直します。判断に用いた規約の所在と調べた日を編集記録に残せば、次の改訂でも根拠へ戻れます。

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作ったガイドラインを定着させる

生成AIの導入に向けて第1版を配るときは、社員が使う場面から読めるかを試します。対象のサービスで許可した業務を行うとして、入力前から出力を使うまでの動作をたどってください。迷う箇所があれば、配布時の説明と次の改訂に使います。

禁止だけを並べると、現場が隠れて使うおそれがある

禁止事項だけの文書にせず、会社が認める使い方を冒頭に置きます。許可される範囲や相談方法が読めなければ、利用を相談せずに進めることへの備えが足りません。ひな形も業務効率の改善やアイデア出しに触れたうえで、注意事項を示しています。

配布時には、社内で採用したルールに沿う利用例を添えます。例えば「入力禁止情報を含めず、社内行事の案を考える」といった形です。サービスと入力条件を伴う例にすると、単に「アイデア出しは可」と伝えるより範囲が明確になります。

部署の担当者に自分の業務を1つ当てはめてもらい、使えるか迷った箇所を窓口へ返してもらいます。禁止条文を読み上げるだけで周知を終えないようにします。

禁止ばかりのルールで起きることはAIガバナンスを解説した記事で扱っています。

迷った例を集めて改訂する

東京都の手引きも、得られた知見などを踏まえて内容を見直す予定としています。自社の文書にも問い合わせの記録を残し、次の改訂で直す材料にします。記録するのは、相談者の情報そのものより判断に必要な条件です。

  • どの業務で何をしようとして迷ったかを書く。
  • どの条文では判断できなかったかを記す。
  • 誰がどう回答し、本文のどこを直すかを残す。

相談記録は入力禁止情報を丸ごと写さず、資料の種類と利用目的が分かる形に整えます。改訂時には変更箇所と適用日を社員へ伝え、古い版の置き場所も整理してください。新しい版を保存するだけで終わらず、社員が参照する文書を入れ替えます。

生成AIガイドラインに関するよくある質問

配布前には、ひな形の使い方と対象範囲も点検します。文書を作る担当者が迷いやすい2点を整理します。

Q. ひな形をそのまま使ってもよいですか

自社向けの加筆修正が必要です。JDLAの前文は、利用する生成AIや組織の性質に応じて直すためのひな形としています。会社名だけを置き換えても、禁止用途や相談先が自社に合っているとは限りません。

配布前には、社員の立場で「この資料を使ってこの作業ができるか」を読み取れるか試します。本文だけで決まらない場合は相談先へ進める形にしてください。さらに改変用の【】や仮の部署名が残っていないかを文書内で検索します。文面の差し替えと、業務に当てはめた点検を両方終えてから配布します。

Q. 画像生成AIにも同じガイドラインで足りますか

同じ文書で足りると決めつけず、画像を使う業務に必要な項目を点検してください。JDLA資料室には、2024年2月公開の「生成AIの利用ガイドライン(画像編)」第1版があり、条項のみ版と簡易解説付が用意されています。

画像生成を使う部署があるなら、画像編も開いて社内文書に補う箇所を選びます。その際は、社内の案出しで使うのか、広告など社外に出すのかを部署に書いてもらいます。作成する画像と使う場所をそろえてから文書を点検すれば、対象サービスを追加するだけで済ませずに利用範囲まで整えられます。

まとめ

生成AIガイドラインを会社で作る際は、国の事業者向け指針と、行政・学校向けの資料を区別します。社員に配る文書の土台にはJDLAのひな形を使い、対象サービスから相談先までを自社の業務に合わせて整えます。入力の制限と生成物の利用手順を一緒に書くことが要点です。

まずひな形を開き、対象サービス・禁止用途・問い合わせ先の空欄を埋めてください。入力しない情報には自社の資料名を添え、サービス条件に依存する説明は現在の規約と照合します。既存規程との整合を取り、見直す時期まで書けば、社内で検討に回せる第1版になります。

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Accelport株式会社 編集部

業務の見極めから実装の進行管理までを引き受ける「社外AX部」を提供しています。現場で得た知見をもとに記事を制作しています。

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