AXとは?DXとの違いと自社でやる範囲を決める5つの問い

AXは「エーエックス」と読み、AI Transformation(AIトランスフォーメーション)の略です。ひとことで言うと、AIがある前提で業務そのものを設計し直すことを指します。
役員会で「うちもAXをやれ」と言われたものの、DXとの違いが説明できず困っている方に向けて書きました。社内で説明できる形にまとめ、最後に自社でどこまでやり、どこから外に出すかを決める5つの問いを置いています。
AXとDXの違いを社内で説明したい方へ
業務の見極めから実装の進行管理まで、
社外AX部が担います
- 手段を選べる立場から入る。特定のツールを売っていません
- 実装の進行管理まで引き受けます。提案だけで終わりません
- 置き換えない方がよいという結論も、そのままお出しします
フォーム入力は30秒ほどで完了します
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AXとは?AIを前提に業務そのものを組み直すこと
AXという言葉は2024年以降に急速に使われはじめました。まずは定義と、よくある誤解の線引きを押さえます。
- AXの定義は「AIを使うこと」ではない
- 「AX化」という言い方が何を指すのか
- ChatGPTを導入しただけではAXと呼べない
AXの定義は、AIを使うことではなくAIがある前提で業務を設計し直すこと
AXとは、AIを業務の中心に置いて、仕事の進め方そのものを組み替える取り組みです。
理由は、AIを既存の業務に足すだけでは効果が頭打ちになるからです。
たとえば請求書の入力をAIに任せたとします。入力にかかっていた時間は大きく減ります。ところが人が全件チェックする工程を残したままなら、その後の承認も転記もそのままです。減ったのは入力の分だけで終わります。
チェックの基準を決め直し、例外だけ人が見る形に変えて初めて業務全体が変わります。
AIを入れる話と、業務を組み替える話は別物です。後者がAXにあたります。
デジタル庁の参考資料も、AXを「あらゆる組織で、AIを前提として意思決定や業務の進め方を根底から見直すこと」と定義しています。
(出典:デジタル庁「AI駆動型国家の実現に向けたAI・AX関連政策」)
「AX化」とは、部門や業務の単位でAIを前提にした形に切り替えること
AX化は、AXを個別の部門や業務に当てはめたときの言い方です。
「経理業務のAX化」「カスタマーサポートのAX化」のように使います。全社の変革を指すAXに対して、AX化は範囲を区切った取り組みを指します。
社内でも対象を区切って説明すれば、どの業務に取り組むかが伝わり、責任者も決めやすくなります。
「AIツールを入れた」はAXではない。線引きは3つある
ChatGPTを全社に配ったからAXが終わった、という説明は、この定義に照らすと成り立ちません。
AIツールの導入とAXを分ける基準は3つです。
| 観点 | AIツールの導入 | AX |
|---|---|---|
| 変えるもの | 作業のやり方 | 業務の設計そのもの |
| 判断 | 人が全件見る | 例外だけ人が見る |
| 効果の測り方 | 使った人数・回数 | 業務全体にかかる時間・件数 |
見分け方は単純で、AIを止めたときに元の業務がそのまま戻るならAXではありません。作業の一部をAIに任せているにすぎないためです。
AXまで進んでいれば、業務の流れが変わっているため元には戻せません。承認の段階が減っていたり、そもそも発生しなくなった作業があったりします。
AXとDXは何が違う?目的と手段が入れ替わっている

社内で最初に聞かれるのがこの質問です。両者は対立しません。違いは、技術を目的に置くか、前提に置くかです。
- DXは「デジタル化すること」が目的だった
- AXは「AIがあること」が前提条件になっている
- DXが終わっていない会社でもAXには進める
DXはデジタル化が目的、AXはAIが前提条件
DXは紙や手作業をデジタルに置き換える取り組みでした。目的は「デジタルになっていること」そのものです。紙の申請書がワークフローシステムに変わった時点で、ひとつのDXは完了します。
AXでは「この業務はAIでどこまでできるか」から考えます。できる部分を前提に業務を組み直すため、AIは業務設計の条件になります。
目的と完了の判定、主な担い手まで含めて整理すると次のようになります。
| DX | AX | |
|---|---|---|
| 目的 | 業務をデジタルに置き換える | 業務の成果を変える |
| デジタル・AIの位置づけ | 目的 | 前提条件 |
| 完了の判定 | 置き換えが終わったとき | 業務の設計が変わったとき |
| 主な担い手 | 情報システム部門 | 業務部門 |
DXが終わっていない会社は、AXに進めないのか
進めます。DXの完了はAXの前提条件ではありません。
そう言える理由は、AIが扱える入力の幅が広がったためです。かつては構造化されたデータがなければAIは使えませんでした。現在は文章、画像、音声をそのまま処理できます。紙の書類を撮影して読み取る処理も実用になっています。
つまり、デジタル化が済んでいない業務にも、AIから先に手をつけられます。
ただし順番には注意が要ります。データが散らばったままAIを入れると、効果の測定ができません。どの業務にどれだけ時間がかかっているかだけは、先に把握しておく必要があります。
なぜ今AXなのか。背景は3つ
AXという言葉が広がった背景には、技術と社会の両方の変化があります。
- 生成AIが業務に耐える精度に達した
- 人手不足が採用では埋まらなくなった
- 国がAIを使う側のルールを示した
生成AIが業務に耐える精度になった
問い合わせメールの分類や議事録の要約、契約書の条項チェック。現在の生成AIは、こうした従来は人にしかできなかった作業を扱うようになりました。
業務で扱う書類や問い合わせは、形式が揃っていません。以前のAIは想定した種類の入力しか処理できず、多くの場面で使えませんでした。現在は形式が揃っていない文章でも意味を読み取れます。
この変化で精度が実務で使える水準に届き、AIを前提に業務を設計するという発想が現実的になりました。
人手不足が採用では埋まらなくなった
採用で人を増やす前提が崩れたことも、AXが注目される理由です。
総務省の情報通信白書によれば、日本の生産年齢人口は減少が続いています。募集をかけても応募が来ない状況は、業種を問わず広がっています。
採用が難しい状況で業務量を維持しようとすると、既存の社員に負荷が集中し、離職にもつながります。今いる人で担えるように、業務を設計し直す必要があります。
AXは省力化の手段であると同時に、今いる人を残すための取り組みでもあります。
国がAX推進を掲げ、使う側のルールも決まった
国のAX推進と企業のAI利用指針が、導入を後押ししています。
令和8年の重点計画の政策を示すデジタル庁の同資料は、国・自治体を含む社会全体で生成AIやAIエージェント等を使う「AX/DX」を掲げています。民間向けに地方部の中堅企業等のAI導入(地域AX)を挙げています。
総務省と経済産業省は「AI事業者ガイドライン」を公表し、AIを開発する側だけでなく、利用する側の企業が取るべき対応を整理しました。利用する側が具体的に何をすればよいかは、AI事業者ガイドラインの利用者向けの7項目を解説した記事で整理しています。
指針があることの意味は、社内で反対する材料が減る点にあります。これまでは「AIを使ってよいのか」という問いに答える基準がなく、判断が止まりがちでした。
何を確認すればよいかが示されたことで、リスクの議論から、どう使うかの議論に移れるようになりました。
AXで実際に何が変わるのか

自社で何が変わるのかは、日々の仕事に置き換えると説明しやすくなります。次の3つの作業や困りごとから見ていきます。
- 会議の前に数字を集めて比較する作業
- 特定の担当者しか判断基準を知らない業務
- 次の改善対象を勘や声の大きさで決める状態
判断の前工程が消える
AXで最初に効果が出るのは、判断そのものではなく判断の前にある作業です。
管理職の時間は、判断材料をそろえる作業にも使われています。数字を集め、表にまとめ、前月と比べる作業です。
この工程はAIに置き換えられます。データを集めて比較し、変化が大きい項目を示すところまでは自動化できます。人が残るのは、その数字を見て何をするかを決める部分だけです。
結果として、会議の性質が変わります。資料を読み合わせる時間がなくなり、決めることに時間を使えるようになります。
属人化していた業務が引き継げるようになる
AXを進めると、特定の人しかできなかった業務が引き継げる状態になります。
理由は、AIに任せるために業務を言語化する必要があるからです。何を見てどう判断するか、例外をどう扱うかを書き出さなければAIは動きません。
この作業自体が引き継ぎ資料になります。担当者の頭の中にあった基準が、文書として残ります。
属人化の解消を目的に手順書を作ろうとしても、続かないことがあります。日々の業務に追われて後回しになるためです。AIに任せる過程であれば、書き出すことがAIに任せるための手段になるので進みます。
データが貯まり、次に何を削るかが決まる
AXの効果は1回で終わらず、次の改善対象を教えてくれる点にあります。
AIを通した業務は、処理件数と所要時間が自動で記録されます。どの作業に時間がかかり、どこで例外が発生しているかが数字で見えます。
たとえば問い合わせ対応をAIに任せると、対応できなかった質問が残ります。その内容を集計すれば、次に手をつけるべき領域が特定できます。
勘や声の大きさで改善対象を決めていた状態から、実測にもとづいて順番を決める状態に変わります。
AXが進まない会社に共通する3つの壁
導入を決めても止まる会社には、共通した詰まり方があります。
- 目的がAIを使うことになっている
- 現場が自分の仕事を削る提案をしない
- 効果を測る前に次のツールを入れる
壁1:目的が「AIを使うこと」になっている
つまずきやすいのは、AIの導入そのものが目標に設定されてしまうことです。
「生成AIの利用率を全社員の80%に」といった目標が置かれる場合があります。この目標は達成できますが、業務は変わりません。使っているかどうかと、業務が変わったかどうかは別の話であるためです。
目標に置くべきは業務側の数字です。
| 置いてはいけない目標 | 置くべき目標 |
|---|---|
| AIツールの利用率 | 対象業務にかかる総時間 |
| 導入部門の数 | 処理件数あたりの所要時間 |
| 研修の受講率 | 例外対応の発生率 |
利用率を測ると、使うことが仕事になります。業務側の数字を測れば、AIを使わずに解決しても評価されます。
壁2:現場が自分の仕事を削る提案をしない
現場から改善案が出てこない理由は、能力より構造にあります。
業務に詳しい人ほど、どこを自動化できるかが分かります。同時に、それが自分の担当業務だということも分かっています。自分の仕事を減らす提案をして、その後どうなるかが見えない状態では、手は挙がりません。
ここで「現場の意識が低い」と評価すると、話はさらに進まなくなります。合理的に行動した結果であるためです。
対処は2つあります。
- 削減した時間を何に使うかを、削減する前に決めて伝える
- 提案した人が次の担当になる設計にする
空いた時間の使い道を示さないまま棚卸しを始めると、正確な業務量は出てきません。実際より多めの時間が申告されます。
壁3:効果を測る前に次のツールを入れる
効果測定を飛ばして次に進む会社は、どのツールが効いたのか分からなくなります。
新しいAIツールは次々に出ます。試したくなるのは自然ですが、前のツールの効果が出る前に入れ替えると、比較の基準がなくなります。
必要なのは、導入前の数字を残しておくことだけです。
- 対象業務にかかっていた時間
- 月あたりの処理件数
- 例外やミスの発生回数
この3つを測っておけば、後から効果を説明できます。稟議で次の予算を取るときにも、この数字が根拠になります。
AX推進の進め方5ステップ

AX推進とは、組織としてAXを進める取り組みです。手をつける順番には定石があります。いきなり全社で始める進め方は、ほぼ失敗します。
- 業務を棚卸ししてかかっている時間を測る
- 置き換える業務を1つだけ選ぶ
- 小さく試して効果を数字で出す
- 業務そのものを組み直す
- 横に広げて判断の基準を残す
AX推進の体制:推進室より先に責任者を決める
AX推進室を作る前に、責任者と推進担当を決めます。試して効果を測っても、業務を変える決定ができなければ先に進めません。最初に決めるのは次の3つです。
- 責任者:業務をやめる・変える判断ができる人を置く
- 推進担当:棚卸しと効果測定を進める人を決める。兼任でよいが、週に何時間を充てるかも決める
- 判断の場:たとえば月1回、責任者が測定結果を見て試行を続けるか止めるかを決める
会議には推進担当が導入前後の所要時間やミスの件数を持ち寄ります。責任者は結果を見て、全件確認や承認を減らせるかを判断してください。決めた内容と次に測る項目を残せば、次回も同じ数字で比べられます。
推進室はステップ5で他の業務へ広げる段階に入り、部門間の調整が必要になってから置けば十分です。推進担当に求める役割はAX人材を解説した記事で詳しく扱っています。
ステップ1:業務を棚卸しして、かかっている時間を測る
最初にやるのは業務の把握です。AIの検討はその後です。
どの業務に何時間かかっているかが分からなければ、どこから手をつけるかを決められません。感覚で選ぶと、目立つけれど時間を食っていない業務が選ばれがちです。
棚卸しで記録するのは次の3つです。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 業務名 | 担当者が普段呼んでいる名前 |
| 頻度と件数 | 月に何回、何件処理しているか |
| 1件あたりの所要時間 | 実測。見積もりではない |
所要時間は必ず実測します。申告された数字は、多い方にも少ない方にも実態から大きくずれることがあります。
ステップ2:置き換える業務を1つだけ選ぶ
複数を同時に始めず、1つに絞ります。
同時に進めると、うまくいかなかったときに原因が特定できません。業務の選び方が悪かったのか、ツールが合わなかったのか、進め方の問題かが切り分けられなくなります。
選ぶ基準は3つあります。
- 件数が多く、1件あたりの処理が短い
- 判断の基準が言葉にできる
- 間違えても取り返しがつく
契約や与信のように、間違えた場合の影響が大きい業務は1つ目に選びません。効果は大きくても、慎重な確認が必要になり、結局人手が減らないためです。
ステップ3:小さく試して、効果を数字で出す
1部門か1業務で試し、人の作業が実際に減ったかを確かめます。AIの出力が正しくても確認に時間がかかっていれば効果はないため、精度だけでは判定できません。
導入前後を比較できるように、測る項目はステップ1で記録したものとそろえます。検証期間の目安は1か月から2か月です。短すぎると慣れの影響が残り、長すぎると判断が遅れます。
試す前に、出力の誤りを誰がどう見つけるかと、AIに入力してよい情報の線引きを決めておきます。確認の分け方はハルシネーション対策の記事、入力の線引きはAIと個人情報の記事で扱っています。
ステップ4:業務そのものを組み直す

ここがDXとの分かれ目です。作業を置き換えるだけで終わらせず、前後の流れを変えます。
具体的には、次のような変更を検討します。
- 全件確認をやめ、条件に合うものだけ人が見る
- 承認の段階を減らす
- 前工程で発生していた入力や転記をなくす
この段階で初めて、時間の削減が定着します。作業だけ自動化して確認の仕組みを残すと、担当者の負荷は思ったほど下がりません。
組み直しには業務部門の判断が要ります。情報システム部門だけでは決められない領域です。
ステップ5:横に広げて、判断の基準を残す
最後に、他の業務へ展開できる形に整理します。
残すのは判断の基準です。どういう業務が向いていて、何を測り、どこで人が介在するかを書いておきます。
手順書は対象業務が変われば使えません。基準であれば次の業務にも当てはめられます。
この段階まで進むと、AXは個別の改善から仕組みに変わります。
基準として残すのは次の4点です。
- どういう業務が対象に向いているか
- 何を測って効果を判定したか
- どこで人が介在する設計にしたか
- 想定外が起きたときに誰が判断するか
次の業務に移るときの検討時間が大きく減ります。1業務目で数か月かかった判断が、2業務目では数日で済むようになります。
複数の部門で使い始めたら、残した基準を社内の生成AIガイドラインにまとめ、リスクを誰が判断するかも決めます。ガイドラインの作り方は生成AIガイドラインの記事、判断の体制はAIガバナンスの記事で整理しています。
AXのどこまでを自社でやり、どこから外に出すか
ここまでの工程をすべて自社でやる必要はありません。社内に残すべきものと、外に出せるものは分かれます。
- 社内に残すのは業務の知識とやめる判断
- 外に出せるのは棚卸し、検証設計、効果測定の仕組み
- 外に出すと失敗するのは現場の巻き込み
社内に残すもの:業務の知識と、やめる判断
外部に渡せないのは、業務の中身を知っていることと、やめる決定です。
業務の細かい例外や、なぜその手順になっているかという経緯は、社内にしかありません。ヒアリングで引き出すことはできても、正しいかどうかを判断できるのは社内の人です。
もうひとつがやめる判断です。AXの効果は、業務を速くするだけでなくやめることでも生まれます。
やめる判断には責任が伴います。外部の支援者が「この業務は不要です」と言っても、実際に止める決定は社内でしかできません。
外に出せるもの:棚卸し、検証の設計、効果測定の仕組み
手を動かす工程と、型が決まっている工程は外に出せます。棚卸しを外に出す場合は、聞き取りと集計を任せます。その内容が正しいかを判断するのは社内です。
| 工程 | 外に出せるか | 理由 |
|---|---|---|
| 業務の棚卸し | ○ | 聞き方と集計の型が決まっている |
| 検証の設計 | ○ | 何を測るかは経験で決まる |
| ツールの選定 | ○ | 比較の観点が決まっている |
| 効果測定の仕組み作り | ○ | 一度作れば使い回せる |
| 業務の中身の判断 | × | 社内の知識が要る |
| やめる決定 | × | 責任が伴う |
棚卸しは特に外に出す価値があります。社内の人がやると、自分の業務を過大にも過小にも申告してしまうためです。
ツール選定の考え方はAI導入コンサル15社を比較とAIコンサル会社の選び方にまとめています。内製に寄せる場合は内製化支援も参考になります。
外に出すと失敗するもの:現場の巻き込み
現場の説得だけは外部に任せても進みません。
理由は明確で、外部の人が「この業務を変えましょう」と言っても、現場から見れば発注者の代弁にしか聞こえないからです。抵抗する相手が変わるだけで、構造は同じです。
現場が動くのは、社内の誰かが責任を持って「削減した時間をこう使う」と約束したときです。この約束は外部にはできません。
外部支援者が果たせる役割は、材料をそろえて判断しやすくすることまでです。決めて伝えるのは社内の仕事になります。
AIコンサルが不要になるという議論についてはAIコンサルはなくなるのかで扱っています。

5つの問いで自社の範囲を決める
次の5つの問いで、自社で進められる工程と外に出せる工程を整理します。問1と問4は所要時間と効果を自社で測れるか、問2は設計を外に渡せるかを確かめます。問3と問5では、社内で決める人と現場の協力を確認します。
| # | 問い | Yesなら |
|---|---|---|
| 1 | 業務にかかっている時間を実測で答えられるか | 棚卸しを自社でできる |
| 2 | 判断の基準を言葉にして渡せるか | 設計を外に出せる |
| 3 | やめる判断ができる人が社内にいるか | 社内で決めきれる |
| 4 | 効果を測る数字を継続して取れるか | 検証を自社で回せる |
| 5 | 削減した時間の使い道が決まっているか | 現場の協力を得られる |
Noが3つ以上なら、外部の活用を検討します。特に1と4がNoの場合、社内で進めても効果が説明できず、途中で止まります。問2がNoなら、判断の基準を言葉にしてから設計を渡します。
逆に3がNoであれば、外部を入れても進みません。やめる判断ができる人がいない状態では、材料がそろっても決定に至らないためです。この場合に先に必要なのは、誰が決めるかを決めることです。
5がNoの場合は、棚卸しの数字が実態からずれます。着手の前に、空いた時間を何に使うかを決めておいてください。
AXにかかる費用の考え方
費用を考えるときは、外部に払う金額だけを見ても判断できません。自社で使う時間も費用です。
- 内製で消えるのは時間
- 外部に頼む場合は、何に払うのかで分けて考える
内製した場合、消えるのは費用ではなく時間
自社でやれば費用はかからない、という前提は成り立ちません。
棚卸しには、担当者へのヒアリングと集計が必要です。1業務あたりの聞き取りに1〜2時間かかるため、対象が10業務なら聞き取りだけで10〜20時間になります。集計と整理を含めれば、1人が1か月のうち数日を使う計算です。
その時間は本来の業務から引かれます。支出としては見えませんが、使った時間の分だけ他の仕事が止まります。
判断の材料にするには、次の形で比べます。
| 内製 | 外部委託 | |
|---|---|---|
| 支出 | なし | 委託費 |
| 社内で使う時間 | 大きい | ヒアリングへの同席、内容の確認と社内判断 |
| 完了までの期間 | 業務の合間になるため長い | 短い |
| 残るもの | 進め方のノウハウ | 成果物と型 |
外部に頼む場合、費用の内訳で考える
AXの外部委託には、公開されている相場と呼べるものがありません。支援の範囲が会社ごとに違い、比較できる形になっていないためです。
そこで、何に対して払うのかを分けて考えます。
| 払う対象 | 内容 | 費用の性質 |
|---|---|---|
| 棚卸し・調査 | ヒアリングと集計 | 対象業務の数で決まる |
| 検証の設計と実施 | 何を測るかの設計 | 期間で決まる |
| ツールの利用料 | AIサービスの月額 | 利用量で決まる |
| 効果測定の仕組み | 数字を取り続ける仕掛け | 初期のみ |
| 継続的な相談 | 判断の壁打ち | 月額 |
当社の場合、プランを分ける基準は月あたりの稼働時間です。時間単価は6,250円から16,667円で、稼働時間が短いプランほど高くなります。相談だけを受ける形では、限られた稼働時間に相談が集中するためです。
見積もりを取るときは、総額より、上の5つのどこまでが含まれるかを確認します。範囲が違えば金額は比較できません。
AI導入そのものの費用はAI導入の費用はいくらかで詳しく扱っています。
AXに関するよくある質問
AXとDXは同時に進めるべきですか
同時に進められます。着手の前に確認したいのは、対象業務の所要時間を把握できているかです。ここが分からないと、DXとAXのどちらの効果なのかを説明できません。
DXの完了を待つ必要はありません。所要時間を押さえたら、デジタル化が済んでいない業務からでも始められます。
AI人材が社内にいない場合はどうすればよいですか
いない状態でも始められます。最初の工程で必要なのは、業務の知識であるためです。
棚卸しと業務の選定は、その業務を知っている人がいれば進みます。技術的な検討が必要になるのは、対象を絞ったあとの段階です。
人材を採用してから始めようとすると、着手が1年遅れます。その間に業務の状況も変わるため、採用が完了した時点で調査からやり直しになります。先に1業務で試し、必要な人物像が見えてから採用したほうが失敗しません。推進役に求める役割と、育成・採用・外部の使い分けはAX人材を解説した記事で整理しています。
中小企業でもAXはできますか
できます。むしろ進めやすい面があります。
意思決定に関わる人数が少なく、やめる判断が早く下せるためです。大企業では部門をまたぐ調整に時間がかかります。
対象業務の数も限られるため、棚卸しの負荷が小さく済みます。最初の1業務で効果を出すまでの期間は、規模が小さいほど短くなります。
課題になるのは人員です。担当を兼任で置くと、日々の業務が優先されて止まります。週に何時間を充てるかを決めてから着手してください。
まとめ
AXは、AIがある前提で業務を設計し直す取り組みです。AIツールを導入することとは区別されます。見分け方は、AIを止めたときに元の業務がそのまま戻るかどうかです。
DXとの違いは、デジタルやAIを目的として扱うか前提として扱うかにあります。DXが終わっていない会社でも、AXには着手できます。
進め方は、業務の棚卸しから始めて1業務に絞り、小さく試して業務そのものを組み直す順番です。工程のすべてを自社でやる必要はありません。
社内に残すのは業務の知識とやめる判断で、棚卸しや検証設計は外に出せます。5つの問いでNoが3つ以上なら、外部の活用を検討します。ただし問2がNoなら判断の基準を先に言葉にし、問3がNoなら先に社内で決める人を定めます。問5がNoなら、着手前に削減した時間の使い道を決めてください。
型と記入例
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