契約書チェックAI、導入前に整理すべき工程と人に残す判断
上司から「AIで何とかならないか」と言われ、契約書チェックAIを調べている法務・管理部門の担当者の方へ。契約の内容を読む時間に加えて、締結後の登録や期限管理にかかる時間も見てください。大手インターネット企業での分析では、契約登録のステップの86%に自動化の余地がありました。
省人化の候補は審査の前後にもあります。取引を続ける判断や相手との交渉は人に残し、情報を拾って転記する作業を切り分けるのが出発点です。この記事では契約業務を6つの工程に分け、任せる範囲と人に残す3つの判断を整理します。読み終えたら、自社で最初に試す工程を判定表から選び、上司に提案する材料をそろえられます。
契約書チェックAIを調べている担当者の方へ
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契約書チェックにAIを使うとは

契約書チェックは、約束する内容や自社が負う責任を契約前に調べる仕事です。契約書レビューとも呼ばれ、法的な観点での確認にはリーガルチェックという言葉も使われます。AIの利用範囲は、担当者が読む箇所を探し、判断に必要な材料をそろえるところから考えます。
AIがするのは、条項の抜き出しとリスク箇所の指摘
AIに任せる一次作業は、契約の個々の約束である「条項」を抜き出し、注意が必要な箇所を候補として示すことです。自社のひな形との違いや抜けている条項を拾い、不利な条件がないか人が読む順番をつけます。
例えば、損害が出たときに負う責任の範囲がひな形と違えば、原文と違いを並べて担当者に渡します。AIの指摘だけで条件を受け入れるかは決めません。法務省のガイドラインも、AIの回答は参考情報であり、弁護士等に代わる最終判断をするものではないと利用者へ説明することを重視しています。
(出典:法務省「ビジネス分野におけるAI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係について」)
「レビュー」だけを見ると、省人化の効果を読み違える
審査が速くなっても、管理部門全体の手作業が同じだけ減るとは限りません。契約書を読む作業と、依頼の不足を聞き返す作業は別です。署名済みの文書を探す時間や台帳に転記する時間も、分けて数えてください。
例えば「契約対応で午後が埋まった」という日には、その間に自分が何をしていたかを書き出します。相手への返答を考えていたのか、社内の承認状況を調べていたのかで、減らすための打ち手は変わるはずです。
省人化の対象は、契約書を読む工程だけで決めないことです。まず契約1件が社内をどう流れるかを追い、自分や他部署の担当者が手を動かしている場所を見つけます。
契約業務はレビューだけではない

契約書の審査を入口に調べていても、人手不足への対策は締結後まで含めて考えます。営業から届いた依頼が、経理の入金確認に届くまでをたどってください。途中で部署やシステムが変わる場所にも、転記や問い合わせの作業がないか目を向けます。
契約業務を6つの工程に分ける
受付から入金回収までを1行ずつ書き、担当者と使っているシステムを埋めます。下表は記入例です。担当者欄は、実際に手を動かす人の名前に置き換えてください。
| 工程 | 誰が担うかの例 | 何をするか | 使う仕組みの例 |
|---|---|---|---|
| 受付 | 営業・管理部門 | 取引の目的と希望日を受け取り、不足する資料を集める | 申請フォーム・メール |
| 審査 | 法務・管理部門 | 条項を読み、修正点と承認が必要な条件をまとめる | 文書管理・審査用の仕組み |
| 締結 | 営業・承認者 | 合意した版を承認し、署名済みの文書を保管する | 社内承認・電子契約 |
| 登録 | 管理部門 | 契約先や金額を台帳に記入し、原文の所在を残す | 契約管理台帳 |
| 期限管理 | 管理部門・事業担当 | 更新や解約の期限を追い、対応する人に知らせる | 台帳・予定表 |
| 入金回収 | 経理・営業 | 契約条件と請求・入金を照合し、差異を調べる | 請求管理・会計システム |
自社の契約を例に、受付時の情報が後の工程でそのまま使われるかをたどりましょう。同じ契約先名を別の担当者が入力しているなら、その受け渡し部分も記録の対象です。
担当者が別に持つ一覧やメールでの確認も、表に書き足してください。
件数が多く、手順が決まっている工程ほど省人化しやすい
候補を探すときは、繰り返す件数と作業手順に注目します。毎回同じ情報を同じ欄へ入れる工程なら、入力する条件と完了の形を決めやすいためです。一方で、案件ごとに責任者へ方針を聞く作業は、どの条件なら担当者だけで進められるかを責任者に決めてもらいます。
「件数が多い」だけで着手を決めるのも早計です。例えば締結時の文書を取り違えれば、後から直す手間に加え、相手との調整が必要になるかもしれません。誤った場合の影響まで並べて選びます。
見る軸は次の3つです。
- 同じ期間に何件扱うかを数える。
- 同じ手順で処理できる案件がどの程度あるかを調べる。
- 誤った処理がどこまで届くかをたどる。
上司に上げる前に:大手インターネット企業での分析で分かったこと

大手インターネット企業での分析は、契約の審査だけに対象を絞らない理由を示しています。上司に対象工程を提案する材料として、管理業務を広く見た結果と契約に関わる領域に絞った結果を見ていきます。いずれも自動化の余地を分析した数字であり、導入後に実現した成果を示す数字ではありません。
管理業務19ドメインのうち15に自動化の余地があった
この分析では、管理業務の19ドメインのうち15ドメインに自動化の余地が見つかりました。ドメインとは、ここでは業務の領域を指します。
管理部門で同じように検討するなら、「法務でAIを使う」という部署単位の議題を、作業単位の一覧に変えます。誰かに質問する仕事と、決まった欄に情報を移す仕事を同じ行にまとめないようにしてください。
領域に自動化の余地があることと、その領域の担当者を丸ごと置き換えられることは違います。上司には作業単位の一覧を示し、どの作業を減らすために試したいかを説明してください。
契約系と入金回収系の3ドメインで、削減見込みの56%を占めた
契約系と入金回収系の3ドメインにおける削減見込みは、年約2,146万円でした。これは分析全体の削減見込みの56%を占めます。
この結果を受けて自社で調べるべきなのは、審査を担う人の忙しさだけではなく、契約条件を受け取る管理部門と経理の作業です。契約書から請求に必要な情報を拾い直していないか、入金を確かめる際に原文を探していないかを聞き取ります。
自社の削減見込みには自社の件数と時間を使います。上の金額を売上規模に合わせて縮める計算はせず、まずどの受け渡しに人手がかかっているかを確かめてください。
契約登録は29ステップ中25ステップを自動化できる
契約登録では、29ステップ中25ステップに自動化の余地があるという分析結果でした。注目したいのは、対象が契約内容を受け入れるかの判断ではなく、登録の工程だった点です。
ただし、ステップの割合をそのまま作業時間や必要人数の削減率には置き換えられません。自社の提案を作る際は、残る作業にどれだけ時間がかかるかも測る必要があります。
現在の入力項目を書き出し、原文から拾う項目と担当者が別に判断して埋める項目を分けましょう。
AIに任せられる工程

実際に任せる範囲は、文書を読む処理と、決まった条件に従って動く処理を分けて設計します。日付が確定した後の通知や定型の転記は、AIを使わない自動化も候補です。次の表をもとに、読み取りから後続の作業までをつなぎます。
| 工程 | AIに任せる候補 | 決まったルールで処理する候補 |
|---|---|---|
| 登録 | 契約書から台帳に必要な情報を拾う | 確定済みの値を対応する欄へ転記する |
| 期限管理 | 更新・解約に関する記述を抜き出す | 承認済みの日付に従って社内へ通知する |
| 一次チェック | ひな形との違いや要検討の条項を示す | 指定した項目がそろっているかを点検する |
| 入金回収の確認 | 契約文面から支払条件を拾う | 確定した条件と請求・入金の記録を照合する |
管理部門全体で対象を分ける方法は、バックオフィスAIとは?任せる業務を3つに仕分ける手順でも扱っています。
登録と台帳の更新
登録では、読み取る項目と書き込む欄の対応を決めます。例えば契約先名と契約期間を対象にし、契約書のどこから拾ったかを台帳からたどれる形にします。
人に戻す例外も具体的にしておきましょう。
- 契約先の表記が社内の登録名と一致しなければ保留する。
- 契約書と変更の覚書で記載が異なれば担当者に渡す。
- 必須項目が見つからなければ空欄のまま知らせる。
試行中は原文と登録結果を人が照合し、どの条件で誤りが出たかを残します。照合結果を踏まえて定型案件の確認範囲を見直し、例外を中心に人が扱う運用へ進めます。
期限の管理と更新の通知
期限管理は、日付の抽出と、その日までに行う判断を分けます。例えば「期間満了の一定期間前までに通知」とある契約では、満了日だけを登録しても対応期限は決まりません。期限を計算する根拠の文と、計算結果を並べて承認する形にします。
日付が確定すれば、その日付に従う社内通知は既存の予定表などで組めます。通知には契約の所在と担当者を載せ、受け取った人が原文を探し直さずに済むようにしてください。
契約を更新するか、終了させるかは事業担当者が決める事項です。通知を送った時点で完了扱いにせず、担当者の回答がなければ責任者へ知らせる手順まで設けます。
一次チェックとひな形との比較

一次チェックは、秘密を外部へ漏らさない約束をする秘密保持契約や、継続取引の基本契約などから対象を絞ります。自社が承認したひな形と確認項目をそろえ、AIには違いと修正候補を出すところまで任せる設計です。
例えば、ひな形にはある報告義務の条項が相手の案に見当たらない場合を考えます。担当者へは「不足」という判定だけを渡さず、比較したひな形と該当する原文を一緒に示してください。別の条項に同じ内容がないかも人が読んで判断します。
試す前には、比較に使うひな形の管理者を決めます。古いひな形との違いを修正候補にしても、社内で採用できるとは限りません。生成AIへの指示文であるプロンプトの工夫に先立ち、比較の基準をそろえることが必要です。
入金回収の確認
入金回収では、契約で決めた支払条件と請求・入金の記録を突き合わせます。AIには契約文面から条件を拾う処理を任せ、金額や期日が確定した後の照合は決めたルールで行う設計にします。
例えば請求額と入金額が合わなかったときは、差額と照合に使った記録を経理へ渡します。分割での支払いや条件変更がないかを担当者が調べられるよう、関連する契約書もひもづけておくとよいでしょう。
差異の発見と相手への督促は別の作業です。差異は社内へ通知し、相手への対応は営業や経理が決めます。未入金という表示だけを理由に相手へ請求を送り直さず、契約条件とこれまでのやり取りを読んでから対応してください。
人の判断に残す3つのこと

省人化を提案する際は、減らす作業と判断を仰ぐ相手を整理し、上司と確認します。AIが条項を拾っても、その条件で事業を進める責任まで引き受けるわけではありません。人に残すのは取引とリスクの受入れ、交渉による条件決定、紛争案件の扱いの3つです。判断が必要な案件の行き先を、運用を始める前に上司と決めておきます。
取引をするかどうか、どこまでリスクを受けるか
取引を進めるかは、利益と引き受ける責任を事業責任者が比べて決めます。AIが不利な条件を指摘しても、その条件を受ける事業上の理由までは指摘の数から判断できません。担当者はAIの指摘と法的な懸念を整理し、必要に応じて弁護士に相談して事業責任者へ上げる材料をまとめます。
例えば、納期を守れなかった場合の責任を重くする条件なら、契約書の文面と実際の供給体制を一緒に検討します。担当者が上げる資料には次の内容をそろえます。
- 受け入れた場合に負う責任と、避けたい事態を書く。
- その条件でも取引を進めたい理由を事業部に確認する。
- 社内の承認権限に沿って決裁者を確認する。
AIの指摘は判断材料に使い、取引の承認は社内の決裁者が行います。承認した条件と理由も記録に残してください。
相手と交渉して条件を決めること
交渉では、修正したい条項に優先順位をつける仕事が残ります。AIの修正候補を全部相手へ送る前に、譲れない条件と調整できる条件を営業と管理部門で決めてください。相手から代案が来たときの承認先も必要です。
例えば支払条件を早めたい一方で、相手が検収の期間を確保したいと申し出た場面を考えます。検収とは、受け取ったものが約束した内容を満たすかを確かめる作業です。その期間と入金までの負担を事業担当者に聞き、責任者が受入れを判断できるように案をまとめます。
変更できる範囲と持ち帰る条件は責任者に確認し、交渉担当者と共有しましょう。範囲を超える代案は責任者に戻し、合意した内容を記録します。
紛争になっている、またはなりそうな案件の扱い
法務省の2026年8月21日のガイドラインは、サービス提供者向けの指針です。本記事では、利用企業にも通常のチェックから外す案件を決める目安として活用を勧めます。「事件性」のある案件には、法律上の争いが表面化した案件や、争いがほぼ避けられない案件などが含まれます。
一般的な法的リスクの指摘だけで、直ちに「事件性」のある案件の法律事務を扱ったことになるとはされていません。ただし、具体的な紛争案件に関連する指摘は該当し得ます。
概要は次の条件を満たす書面作成・審査・管理業務支援などの提供について、一般的に弁護士法72条に抵触しないと考えられると整理しています。
| 観点 | 法務省が示す条件 |
|---|---|
| 設計 | 「事件性」のある案件に利用させることを目指していない |
| 特性・機能 | その利用に特化した、またはその利用を念頭に置いた特性・機能を備えていない |
| 体制 | 利用者による不適切な利用を避けるための適切な体制を整備している |
一方、紛争案件の処理を目指す設計や、弁護士の関与なしに和解契約書等の対外書面の作成を念頭に置く機能は法律事務を扱ったと評価され得る例です。
自社では紛争案件を通常のチェックに流さず、弁護士へ相談する流れにします。相手とのやり取りも渡してください。
省人化の対象業務を選ぶ判定表

人に残す判断を決めたら、候補の工程を同じ物差しで比べます。件数が多く手順をそろえやすい作業を探し、誤ったときの影響を別に評価してください。件数の記録と実際の処理例をそろえ、候補を選んだ理由を上司に説明できる形にしましょう。
3つの軸で工程に点をつける
件数と定型の度合いは、高いほど候補にしやすい点として扱います。誤ったときの影響は、高いほど人の確認を厚くする点です。3つを単純に足し合わせず、影響の点を見て任せる範囲を絞ってください。
| 軸 | 1点 | 2点 | 3点 |
|---|---|---|---|
| 件数 | 対象工程の中で少ない | 中程度 | 多い |
| 定型の度合い | 案件ごとに手順を決める | 共通手順と例外が混在する | 共通手順で処理できる |
| 誤ったときの影響 | 社内で発見し、その場で修正できる | 他部署の処理を戻す必要がある | 社外への返答や契約条件に影響する |
次は、同じ期間の業務を仮に評価した例です。数字は実測値ではありません。受付の件数には差し戻しも含めるなど、各行で何を数えたかを書き添えて自社の値に置き換えます。
| 工程 | 件数 | 定型の度合い | 誤ったときの影響 | 最初に試す範囲の例 |
|---|---|---|---|---|
| 受付 | 3 | 2 | 1 | 添付資料の不足を社内へ知らせる |
| 審査 | 2 | 1 | 3 | 条項の候補抽出までとし、判断は人が行う |
| 締結 | 2 | 2 | 3 | 承認状況の一覧作成までに限る |
| 登録 | 3 | 3 | 2 | 定型案件の台帳入力案を作る |
| 期限管理 | 2 | 3 | 3 | 承認済みの期限から社内へ通知する |
| 入金回収 | 3 | 2 | 2 | 照合で見つかった差異を社内へ知らせる |
この例なら登録を最初の候補にできます。ただし、同じ登録でも支払処理へ直接つながる欄があれば、影響の点を見直します。工程名だけで点を固定せず、実際に任せる作業とその出力先で選びましょう。
候補が決まったら、対象の契約種類と作業の開始・終了を1行で書きます。判定表に人の確認が必要な箇所も添えて上司に渡せば、試す範囲を相談できます。
\契約業務を工程に分けて件数と時間を書き出し、上司に上げるための様式です。判定表の3つの軸で点をつける下準備になります/
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上司に上げて、省人化を進める4つの手順

対象の候補が見えたら、棚卸しと時間の記録を上司に示し、1つの工程で試す提案をします。試行の了承を得た後も効果測定まで進め、継続を判断してもらえる材料を残します。手順は次の4つです。
- 契約に関わる業務と担当者を棚卸しする。
- 工程に分けて件数と作業時間を測る。
- 上司と試行範囲を決め、対象を絞った1つの工程で試す。
- 減った時間と例外の処理を測り、上司に継続の判断を仰ぐ。
業務を棚卸しして、工程ごとの時間を測る
棚卸しでは、自分が担う契約1件の処理を順に書き出し、他部署の工程はその担当者に確認します。作業名と担当者を記し、普段の案件に加えて差し戻しのあった案件も見ます。全体の進め方は、AXとは?DXとの違いと自社でやる範囲を決める5つの問いを参照してください。
時間の記録は、実際に手を動かした時間と返答を待った時間を分けます。承認を待つ間に別の仕事をしていたなら、その待ち時間を人手の削減に数えないためです。
| 記録する欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 対象と期間 | 契約の種類と、件数を数えた期間を書く |
| 工程と作業 | どこからどこまでの処理を1件と数えるかを書く |
| 手を動かした時間 | 読み取り・転記・問い合わせなどに使った時間を残す |
| 待ち時間 | 社内承認や相手の返答を待った時間を別に残す |
| 例外の内容 | 通常の手順で終わらなかった理由と追加作業を書く |
上司に合計を示す前に記録の区切りをそろえ、同じ作業の時間を部署間で二重に数えていないか点検しましょう。
1つの工程で試し、減った時間で判断する
試行では、対象の契約種類と処理件数を決め、導入前と同じ作業範囲で比べます。AIが処理を終えるまでの速さだけで評価すると、その後の確認や修正を見落とします。減った時間は、人の確認と手直しを含めた合計で測ります。
| 比べる項目 | 継続を判断するときの見方 |
|---|---|
| 1件を終えるまでの人の作業時間 | 準備と確認、手直しまで含めて減ったかを見る |
| 例外として戻った件数 | 戻った理由を読み、対象を絞れば減らせるかを調べる |
| 誤りと発見した場所 | 社内で止められたか、後続の処理へ流れたかを調べる |
| 運用を維持する作業 | ひな形や台帳の項目を直す担当者と時間を把握する |
開始前には中断する条件も上司と決めておきます。重大な誤りが後続工程へ流れた場合は処理を止め、原因と再開条件を責任者が判断する形です。
上司には処理件数と減った時間を示し、その時間をどの業務に振り向けたいかまで報告します。例外対応が特定の人に集中するなら、対象を広げる前に受け持ちの見直しも相談してください。
契約書チェックとAIに関するよくある質問

導入の検討で残りやすいのが、無料サービスの扱いと比較の順序、人員への影響です。社内で利用を広げる前に押さえたい3つの質問に答えます。
Q. 無料のAIで契約書をチェックしてもよいですか
無料かどうかだけでは決められません。取引先の情報や個人情報を含む契約書を入れる前に、社内で認めた利用範囲とサービス側のデータの扱いを調べます。契約書を預かる担当者が、個人の判断で試しに貼り付ける運用は避けてください。
管理担当者は、入力が認められる文書と対象外の文書を社内ルールに記します。入力内容の利用目的や学習利用の条件が分からなければ、取引先から受け取った文書の入力を保留します。
利用ルールの作り方は生成AIガイドラインとは?社内ルールに書く5項目とひな形を参照してください。個人情報の扱いはAIに個人情報はどこまで入れてよい?2つの確認点と誤入力時の対応で詳しく整理しています。
Q. ツールはどう比較して選べばよいですか
おすすめを探す前に、任せたい工程を1つ決めてください。契約書の指摘機能が豊富でも、台帳の入力を減らしたい会社では、読み取った情報を登録先に渡せるかが選ぶ軸になります。
候補には同じ対象と条件を示し、次の点を比べます。
- 自社の文書から必要な項目を拾い、使う台帳へ渡せるか。
- 原文と出力をたどれ、人が修正した記録を残せるか。
- 例外が出たときに処理を止め、担当者へ渡せるか。
費用は利用料だけで比べず、接続や初期設定に必要な費用も含めて整理します。削減見込みの作業時間と、導入後に残る確認・運用の負担を並べて上司に示してください。
Q. AIを入れたら、法務の担当者は要らなくなりますか
AIを入れても、法務の担当者が要らなくなるわけではありません。取引とリスクの受入れや交渉による条件決定、紛争案件の扱いは人に残ります。担当者には判断材料をそろえ、必要な相手へ相談する役割があります。
定型作業で減った時間は、例外案件の検討や現場からの相談に振り向けます。そのために自動処理から戻る案件の量と、対応できる時間を確かめておきましょう。
上司に人員への影響を聞かれたら、現時点で減らせた作業と引き続き必要な役割を分けて説明してください。通常案件と例外案件を処理した記録を添えれば、必要な人の配置を検討してもらえます。不在時の引継ぎ先も相談しておきましょう。
まとめ

契約書チェックにAIを使う検討は、受付から入金回収までの工程を並べるところから始めます。登録や期限管理など、審査の前後にある定型作業も省人化の候補です。文面の読み取りと決まったルールでの処理を分け、AIを使う範囲を選びましょう。
取引の承認とリスクの受入れ、交渉による条件決定、紛争案件の扱いは人に残します。まず自分の工程の件数と作業時間を記録し、他部署の担当者にも確認して判定表を埋めてください。最初に試す工程と人に残す判断をまとめ、「ツールを選ぶ前に省人化の対象を決めたい」と上司に上げましょう。試行後は確認と手直しを含めて時間が減ったかを測り、継続や対象拡大の判断材料として報告できます。
型と記入例
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