BPO・外注戦略

情シスのアウトソーシングはどこまで?残す業務7つの基準

目次

情シスの業務を外に出したい。ただ、どこまで出せばいいのか判断がつかない。

比較サイトを見ると10社も20社も並んでいて、どれも「まるごとお任せ」と書いてあります。しかし全部を出せる会社なら、そもそも情シスという部署が要りません。

最初に決めるのはサービスではなく、範囲です。

この記事では、外注できる業務の一覧と、社内に残すべき業務の見分け方を整理します。費用の相場と外注先の選び方も扱います。

そのうえで、他の記事がほとんど触れていない「外注したあと情シスは何をするのか」まで書きます。

ここが決まっていないと、外注しても人が減らず、費用だけが増えます。逆に言えば、範囲さえ決まれば残りは比較の作業です。

情シスの業務をどこまで外に出すか迷っている方へ

業務の見極めから実装の進行管理まで、
社外AX部が担います

  • 手段を選べる立場から入る。特定のツールを売っていません
  • 実装の進行管理まで引き受けます。提案だけで終わりません
  • 置き換えない方がよいという結論も、そのままお出しします
60分の無料相談を申し込む

月5万円から。無理な営業はいたしません

》【無料DL】『生成AI 社内利用ガイドライン 策定の手引き』|条文7条の雛形つき

情シスのアウトソーシングで最初に決めるのは「どこまで出すか」

サービスを比較する前に、自社のどの業務を外に出すかを決めます。ここが曖昧なまま複数社に相談すると、各社が違う前提で見積もりを出してきて、金額を比較できなくなります。

範囲が決まっていない状態でよく起きるのが、次の3つです。

起きること 原因
見積もりの金額が3倍以上ばらつく 各社が想定した範囲が違う
契約後に「それは範囲外です」が続く 出す業務を一覧で確定していない
外注したのに担当者の負荷が変わらない 確認と依頼の手間が増えただけ

3つ目が最も多い失敗です。定型業務を出したつもりが、外注先からの確認対応で時間を取られ、総量が減っていないケースです。

外注できる業務は6分類。ヘルプデスクから運用保守まで

情シスの業務は、大きく6つに分かれます。

分類 具体的な業務 外注のしやすさ
ヘルプデスク 問い合わせ対応、トラブル対応 しやすい
IT資産管理 PCの購入・設定・貸出・棚卸し しやすい
インフラ運用 サーバー・ネットワークの監視と保守 しやすい
セキュリティ ウイルス対策、アカウント管理、監査対応 一部
システム企画 業務要件の整理、システムの選定 しにくい
ベンダー管理 契約、交渉、進行管理 しにくい

上3つは手順が決まっているため、外に出しても品質が保てます。下2つは自社の事情を知らないと判断できません。

多くの会社が最初に出すのはヘルプデスクです。件数が多く、担当者の時間を最も食っているためです。

ヘルプデスクは中身を数えてから出す

最初に出す候補になりやすい領域ですが、中身は一様ではありません。出す前に内訳を数えてください。

問い合わせの種類 外注のしやすさ
パスワードの再発行、アカウント関連 最も出しやすい
PC・周辺機器の不調 出しやすい
ソフトの使い方 出しやすい
社内システム固有の質問 手順書があれば出せる
例外的な依頼、稟議が要るもの 残す

最下段だけを社内に残す形にできれば、ヘルプデスクの大部分を外に出せます。種類ごとの割合は会社によって違うので、1ヶ月分の問い合わせをこの5つに分けて数えてください。全部か何もかで考える必要はありません。

外注しやすい業務・しにくい業務

しやすいかどうかは、業務の性質で決まります。

外注しやすい 外注しにくい
手順が決まっている 都度の判断が要る
判断基準を文書にできる 社内の事情を知らないと決められない
成果を件数や時間で測れる 成果が測りにくい
対応の履歴が残る 属人的な経緯に依存する
社外に出せる情報で完結する 未公開の経営情報に触れる

5つのうち3つ以上が右側に当てはまる業務は、外に出さないでください。出しても品質が保てず、確認の手間で相殺されます。

判断に迷うのは、ヘルプデスクの中に「稟議が必要な例外対応」が混ざっているようなケースです。この場合は業務を分割して、定型部分だけを外に出します。

判断の有無で切り分ける

もう一段はっきりさせるなら、判断の有無と情報の機密性の2軸で見ます。

機密性が低い 機密性が高い
判断がない 全部出す 契約で縛って出す
判断がある 一部だけ出す 社内に残す

左上が最も出しやすく、右下が残すべき領域です。

ここで言う「判断」とは、対応表を作れないものを指します。「金額が10万円を超えたら上長承認」はルールなので判断ではありません。「この部署からの依頼は急ぎのことが多いので優先する」は、明文化されていない判断です。

対応表を作れるかどうかで切ってください。作れるなら外に出せます。

手順が決まっているか、判断が要るか。出す業務と残す業務の切り分け

判断に見えて、判断でないものがある

切り分けで最も間違えるのがここです。

見え方 実態 判定
部署によって対応の優先度を変える 一覧にすれば機械的 判断なし
金額で承認者が変わる 閾値のルール 判断なし
緊急度を内容から判断する 基準を言語化できれば 要設計
過去の経緯を踏まえて対応を変える 言語化できない 判断あり

現場は自分の仕事を判断だと説明しがちです。悪気はなく、長年やっているうちに手続きが体に入り、なぜそう決めているかを意識しなくなるためです。

「そこで何を見て決めていますか」と聞いてください。答えが3つ以内の条件に収まれば、対応表が作れます。

社内に残すべき業務は何か。外に出せない4つの領域

外に出す業務が見えたら、次は残す業務を決めます。外注先の提案は出す側の話が中心になるので、残す側は自社で線を引く必要があります。

残す業務は、判断・契約交渉・セキュリティ基準・投資判断の4領域です。以下では投資判断も「判断が要る業務」に含め、発注側の体制と情報の分類を交えて説明します。

社内に残す4つの業務。判断・契約交渉・セキュリティ基準・投資判断

判断が要る業務は残る

対応表を作れない業務は、外に出しても機能しません。

業務 なぜ残るか
システムの選定 自社の業務と予算を知らないと決められない
業務要件の整理 現場との調整が必要
投資の優先順位づけ 経営の方針に依存する
例外対応の可否判断 前例と社内力学を知る必要がある

外注先に判断を求めると、安全側に倒れやすくなります。「念のため社内確認してください」が増え、結局こちらの工数が増えます。

判断は残す。代わりに、判断に必要な情報を揃える作業は外に出せます。

ベンダーとの契約・交渉は残る

見落とされやすい領域です。

業務 残す理由
契約書の確認と締結 法務・経営の責任範囲
見積もりの妥当性の判断 相場観と自社の予算を知る必要がある
追加要望の可否判断 スコープの膨張を止める役割
進行の遅れへの対応 発注側として督促する立場

外注先に他のベンダーの管理を任せると、利益相反が起きます。同じ業界の会社同士で、厳しく詰めることを期待できません。

発注側に立てる人が社内にいない場合、外注そのものが機能しなくなります。ここは人を置くか、外部でもツールやサービスを売らない立場の相手を選ぶ必要があります。

発注側に立てる人がいるか

外注が機能するかは、ここで決まります。必要なのは技術の知識より、交渉と判断の経験です。

場面 発注側がやること
見積確認 内訳を分解させ、根拠を聞く
進捗管理 報告書ではなく、動いているものを見る
変更管理 追加要望を記録し、可否を判断する
品質確認 対応履歴を月次で確認する

2つ目が効きます。「順調です」以外の報告が出てこない案件は、順調なのではなく見えていません。

契約書の内容を確認する打ち合わせ

セキュリティの最終判断は残る

セキュリティの作業は外に出せても、何を守るかを決める役割は外に出せません。

領域 外注できるか
ウイルス対策ソフトの運用 できる
アカウントの発行・削除 できる
ログの監視 できる
どの情報を誰まで見せるかの設計 できない
インシデント発生時の公表判断 できない
生成AIに入れてよい情報の線引き できない

下3つは、経営判断そのものです。作業は出せても、基準を決める役割は残ります。

とくに生成AIの利用ルールは、いま多くの会社で未整備のまま現場が使い始めています。外注先に丸投げすると、自社の情報資産の分類ができていないまま運用が始まります。

情報の分類は自社で決める

外注先に何を見せるかも、生成AIに何を入力するかも、自社で情報を分類して決めます。分類は次の3つです。増やすと現場が覚えられないため、ここでは3つに絞ります。表の「扱い」は生成AIへの入力を例にしています。

分類 定義 扱い
禁止 外部に出た時点で被害が確定する 入力しない
条件付き 加工すれば出せる 匿名化してから
自由 公開済み、または出しても支障がない 制限なし

この分類を決めるのは自社です。外注先は分類に従って作業するだけで、何が機密かを決められません。

ひとり情シスの会社ほど、残す業務を先に決める

ひとり情シスや兼務の担当者しかいない中小企業では、残す業務の議論が後回しになりがちです。目の前の問い合わせが多く、まず全部出したくなるためです。

ただ担当者が1人でも、投資判断を含む判断と契約・セキュリティ基準は社内に残ります。本人が持てないなら、誰がその役割を持つかを先に決める必要があります。

体制 残す業務の持ち方
情シス専任が1人 3つを本人が持つ。定型業務はすべて外に出す
他部署との兼務 判断だけ持ち、資料づくりと調整は外に出す
情シス担当が不在 総務か経営が持つ。外注先には渡さない

3行目が中小企業では最も多いパターンです。担当者を置かないまま外注すると、発注側の席が空いたままになります。外注先に「どうしましょうか」と聞かれて誰も答えられない状態が、最も費用対効果を下げます。

ひとり情シスでこそ外注の効果は大きくなりますが、それは残す業務を手放さなかった場合に限られます。

残す業務がゼロなら、その部署は要らないことになる

ここまでの4つを外に出せるなら、情シスという部署を持つ理由がありません。

状態 意味
残す業務がある 外注は手段。部署は残る
残す業務がない 部署ごと外に出す判断になる

「全部お任せください」という提案には、「判断・契約・セキュリティ基準は誰が担いますか」と聞いてください。全部を出す提案なら、部署そのものを外に出す話になります。

実際には、投資判断を含む判断・契約・セキュリティ基準は必ず残ります。残るものを先に決めてから、それ以外を外に出すという順序にしてください。

\外に出す業務と社内に残す業務を、御社の業務一覧で切り分けます/

【無料】自社の線引きを60分で決める

無理な営業はいたしません。相談のみでも歓迎です

費用の相場はいくらか。頼む範囲で3つの帯に分かれる

範囲が決まったら費用を見ます。順序が逆になると、金額から範囲を決めることになり、必要な業務が抜けます。

月額固定型・従量課金型・スポット型

料金の形は3つです。

形 内容 向く場面
月額固定型 対応範囲を決めて定額 件数が安定している
従量課金型 対応した件数や時間で課金 件数の変動が大きい
スポット型 案件ごとに都度見積もり 単発の作業がある

多くの会社は月額固定型を選びます。予算が立てやすく、社内の稟議も通しやすいためです。

ただし月額固定型は、対応範囲の定義が曖昧だと揉めます。「これは範囲内か」の判断が毎回発生し、その調整に時間が取られます。契約前に、対応する業務としない業務を一覧で確定させてください。

相場は3つの帯に分かれる|月1万〜5万円・8万〜25万円・30万〜80万円

1本のレンジで書くと幅が広くなりすぎるため、頼む範囲で帯に分けます。

帯 月額 何ができるか
軽いサポート 1万〜5万円 スポット相談、単発の作業
ヘルプデスク定常 8万〜25万円 問い合わせ対応の定常運用。台帳とアカウント管理
運用設計まで 30万〜80万円 運用ルールの設計、ドキュメント整備、インフラ運用

上限の80万円は目安です。公開されている最大のプランは月60万円からで上限が示されておらず、業務範囲によってはこれを超えることもあります。

各層の根拠になった8サービスの実額と、初期費用を含めた総額の出し方は情シスアウトソーシングの費用相場|総額を出す7つの内訳にまとめています。中小企業に絞った金額の見方は中小企業の情シスアウトソーシングで扱っています。

費用が変動する3つの要因

見積もりが上下する原因は、ほぼこの3つです。

要因 影響
対応する業務の範囲 最も大きい。範囲が広がれば比例して上がる
対応時間帯 平日日中のみか、24時間365日か
問い合わせの件数 従量課金なら直接、固定でも上限の設定に影響

相見積もりを取るなら、この3つを揃えてから依頼してください。揃っていないと、安く見える見積もりが単に範囲を狭く取っているだけ、ということが起きます。

打ち合わせで見積もりを確認する様子

見積もり依頼時に渡す情報

揃えておくと、比較できる見積もりが返ってきます。

渡す情報 なぜ必要か
社員数とPCの台数 対応量の基礎になる
直近3ヶ月の問い合わせ件数 従量課金の試算に使う
出したい業務の一覧 範囲を揃える
対応してほしい時間帯 夜間対応の有無で大きく変わる
使っているシステムの一覧 対応可否の判断材料

直近3ヶ月の問い合わせ件数は、数えていなければ出せません。記録がない場合は、外注を検討し始めた時点から取り始めてください。まず1ヶ月分あれば見積もり依頼に使えます。

内製・採用・派遣・外注を同じ物差しで比較する

「外注は高い」「採用の方が安い」という議論は、比べ方が揃っていないことが多くあります。年間の総額で並べてみます。

手段 年間の費用感 立ち上がり 抜けたときの影響
正社員 年収+法定福利費(約15%)+採用費 3〜6ヶ月 引き継ぎがないと止まる
派遣 時給×稼働時間。社会保険料は派遣元 2〜4週間 契約期間の制約がある
業務委託(個人) 稼働に応じた委託費 2〜4週間 代替要員がいない
外注(法人) 月額×12ヶ月 1〜2ヶ月 会社として代替要員がいる

最右列が判断を分けます。採用は人件費だけ見れば安く見えますが、その人が辞めたときに業務が止まります。外注は割高に見えても、担当者が変わっても会社として継続します。

属人化の解消を目的にするなら、外注の方が目的に合います。

情シスアウトソーシングの比較は何を見る?選び方は5点

範囲と予算が決まったら、ようやく比較に入ります。見るべきは5点です。

外注先を比べる5点。範囲・サービスレベル・セキュリティ・常駐かリモートか・引き継ぎ

情シス代行サービスは3タイプ。頼む相手で得意な領域が変わる

「情シス代行」と一口に言っても、提供している会社の出自によって得意な領域が違います。

タイプ 出自 得意な領域 手薄になりやすい領域
ヘルプデスク特化型 コールセンター・BPO 問い合わせ対応、件数の多い定型業務 インフラの設計と構築
インフラ運用型 SIer・MSP サーバー・ネットワークの監視と保守 社員からの問い合わせ対応
常駐人材型 人材派遣・エンジニア紹介 現地作業、繁忙期の増員 業務の標準化と仕組み化

自社の問い合わせの内訳と突き合わせてください。件数の8割が社員からの質問なら1つ目、サーバーや機器の障害対応が中心なら2つ目が合います。

比較サイトに並んでいる会社は、この3タイプが混ざっています。同じ土俵に見えて、売っているものが違います。社名を並べて比べる前に、どのタイプを探しているのかを決めてください。

対応できる業務の範囲

一覧で確認します。「対応可能」の一言で済ませないでください。

確認すること
こちらが出したい業務が、すべて範囲に含まれるか
範囲外になる業務は何か。その場合の追加費用はいくらか
対応する機器・ソフトの種類に制限はあるか
拠点が複数ある場合、すべてカバーされるか

一覧では、含まれる業務と範囲外の業務を対にして見ます。後者の扱いが曖昧だと、運用開始後に「それは対象外です」が続きます。

サービスレベルと対応時間

応答の速さは、実務の満足度を大きく左右します。

項目 確認する内容
対応時間帯 平日9〜18時か、それ以外も含むか
一次応答の時間 問い合わせから何分・何時間で返るか
解決までの目安 内容別に設定されているか
緊急時の連絡経路 夜間・休日にどうつながるか

「対応します」とだけ書かれていても、いつ返答が来るかは分かりません。翌日回しでも契約違反にならないため、一次応答までの時間を聞いておきます。

実際に公開されている料金で11社を並べ、予算帯ごとにプランを拾った一覧は情シスアウトソーシング比較11社|価格帯別の選び方7軸にあります。

セキュリティ体制

外部に社内システムへのアクセス権を渡すことになります。

確認すること
情報セキュリティの認証を持っているか(ISMS等)
作業者の範囲は限定されているか。名簿を出せるか
作業ログが残るか。こちらから確認できるか
再委託があるか。ある場合、どこまで管理されているか
契約終了時にデータをどう扱うか

契約した相手ではない会社の作業者が入る場合もあります。作業者の範囲を確かめるには、再委託の有無まで確認が必要です。

あわせて、自社側の準備も要ります。どの情報をどこまで見せるかを、外注先を選ぶ前に決めておいてください。ここが決まっていないと、契約書の秘密保持条項を実効的に運用できません。

オフィスでPCを操作する情報システム担当者

常駐かリモートか

対応の形は2つあります。

常駐 リモート
費用 高い 低い
対面での対応 できる できない
現場の状況把握 しやすい 報告に依存する
対応の速さ その場で解決 状況確認に時間がかかる

PCの物理的な設定や、現場での機器トラブルが多いなら常駐が向きます。ソフトウェアの問い合わせが中心ならリモートで足ります。

多くの会社はリモートを基本にして、必要なときだけ訪問してもらう形を取っています。

判断の目安は、現地で手を動かす必要がある業務がどれだけあるかです。

現地対応が必要な業務 向く形
ほとんどない 完全リモート
ときどきある(機器の入れ替えなど) リモート+スポット訪問
毎日のようにある 常駐を検討

拠点が複数ある場合は、拠点ごとに分けて考えてください。本社は常駐、支社はリモートという組み合わせもあります。

契約前に必ず確認する5項目

見積もりが出てきたら、この5つを確認してください。

  • 対応範囲の一覧(含むもの・含まないものの両方)
  • 一次応答と解決の目安時間
  • 範囲外の作業が発生した場合の単価
  • 契約期間と、途中解約の条件
  • 契約終了時の引き継ぎ範囲

最後の項目が抜けがちです。引き継ぎの取り決めがないと、乗り換えるときに情報が出てこず、実質的に離れられなくなります。

対応履歴と手順書を、契約終了時にどの形式で返してもらうかまで決めておいてください。「協力する」という文言だけでは、実際には出てきません。

\外注先を選ぶ前に、社内の生成AI利用ルールを固めておく必要があります/

【無料】生成AIガイドラインの雛形をダウンロード

フォーム入力は30秒ほどで完了します

メリットとデメリットは何か。最大の効果は属人化の解消

判断材料として、両方を並べます。

4つのメリット

メリット 内容
属人化の解消 担当者が変わっても会社として対応が続く
採用コストの削減 採用活動と教育の負荷がなくなる
専門性の確保 自社にない知見を必要なときだけ使える
担当者の負荷軽減 定型業務が減り、企画に時間を使える

1つ目が最も大きい効果です。ひとり情シスの会社では、その人が休むと業務が止まります。外注は代替要員を会社として抱えているため、この構造的なリスクが下がります。

採用コストの削減も、実額で見ると小さくありません。

費目 目安
採用費(人材紹介) 想定年収の30〜35%
採用にかかる社内工数 書類選考・面接で20〜40時間
入社後の教育 立ち上がりまで3〜6ヶ月

年収500万円で採用するなら、紹介料だけで150万円前後です。外注の月額10万円なら、15ヶ月分に相当します。

4つのデメリット

デメリット 内容
ノウハウが社内に残らない 対応の履歴が外部に蓄積する
費用対効果が見えにくい 削減できた工数を測っていない場合が多い
コミュニケーションの手間 依頼と確認のやり取りが発生する
依存が進む 乗り換えや内製化が難しくなる

2つ目が最も多い失敗です。外注前の工数を測っていないため、効果を説明できず、翌年の予算で削られます。

3つ目のコミュニケーションコストも見落とされます。

発生するやり取り 頻度
依頼の内容説明 案件ごと
範囲内かどうかの確認 月に数回
対応結果の確認 案件ごと
月次の実績報告への対応 月1回

合計で月2〜5時間ほどかかります。外注後の社内工数にこの分を含めて、実質の効果を見てください。

ノウハウが残らない問題は設計で防げる

ノウハウが社内に残らない問題と、外注先への依存は、契約と記録の残し方で抑えられます。対応履歴や手順書を自社に残すための対策が次の4つです。

対策 内容
対応履歴を自社の環境に残す 外注先のシステムではなく、自社のツールに記録してもらう
手順書の作成を成果物に含める 契約時に納品物として定義する
月次で内容を確認する場を持つ 何が起きているかを把握し続ける
契約終了時の引き継ぎを明記する データと手順の返却範囲を決めておく

1つ目と2つ目を契約に入れてください。後から依頼すると追加費用になります。

依存の問題も、引き継ぎ条件を契約に含めておけば大きく下がります。

外注したあと、情シスは何をするのか。企画と要件定義に移す

外注する業務が決まったら、次は社内に残る仕事への時間の配分です。空いた工数を何に充てるかまで決めて、外注の効果につなげます。

空いた工数の行き先を決めないと、別の業務で埋まる

外注すると、担当者の時間が空きます。その時間が何に使われるかを決めていないと、既存の業務が膨張して埋めます。

決めていない場合 決めている場合
空いた時間が別の作業で埋まる 企画・要件定義に充てる
月末に見ると誰の稼働も減っていない 増員なしで新規案件が回る
「楽になった」で終わる 採用を1名見送れる

これは現場の怠慢ではありません。手が空いた人に仕事を渡すのは、管理職として正しい判断です。そのため、空いた時間の行き先を決めないと、既存の業務で埋まります。

外注を決めるときに、空いた時間を何に使うかをセットで決めてください。

情シスが本来やるべきこと

外注で空いた時間を充てる先です。

領域 内容
システム企画 業務課題の把握と、解決手段の検討
要件定義 現場の要望を仕様に翻訳する
ベンダー管理 選定、契約、進行管理
投資判断 費用対効果の試算と優先順位づけ
セキュリティ方針 基準の策定と見直し

いずれも外に出せない業務です。残す業務と一致します。

情シスの価値を決めるのは、問い合わせ対応の速さより、この5つの質です。外注は、そこに時間を移すための手段です。

移した先で何をするかも、先に決めておいてください。

期間 やること
1〜3ヶ月目 現場の業務課題を洗い出す。使われていないシステムを特定する
4〜6ヶ月目 優先順位をつけ、投資の計画を立てる
7ヶ月目以降 選定と導入。効果を測る

「空いた時間で企画をやる」だけでは動きません。何をいつまでにやるか。ここまで決めて初めて、時間が守られます。

費用対効果は人数相当で測る

「月20時間削減できました」では、経営は判断できません。

“`
削減工数(時間/年) = 対象業務の外注前の社内年間工数 – 外注後の社内年間工数(依頼・確認を含む)
削減人数相当 = 削減工数 ÷ 1,920時間
“`

1,920時間は、1日8時間×20日×12ヶ月です。

報告の仕方 受け取られ方
問い合わせ対応が楽になった 判断できない
月20時間の削減 少なく感じる
年間240時間、0.125人相当 判断できる
年間960時間、0.5人相当。採用を見送れる 意思決定できる

外注前の工数を測っておいてください。これがないと、削減量を出せません。1ヶ月、担当者に作業時間を記録してもらうだけで足ります。

外注前後の業務配分。空いた工数の行き先

半年後に見直す

契約したら終わりではありません。半年に1回、続けるかを判断します。

状況 判断
削減分の人件費相当額が外注費を上回っている 続ける
問い合わせ件数が想定より大幅に少ない 範囲を縮小する
社内の確認作業が増えている 範囲の定義を見直す
対応品質に不満が続いている 乗り換えを検討する

3つ目が起きやすい失敗です。外注したのに、依頼と確認の手間が増えて、担当者の負荷が変わっていないケースがあります。

見直しの時期を契約時にカレンダーに入れておいてください。「必要に応じて」にすると、見直されません。

\外注後に空いた工数の行き先まで、一緒に設計します/

【無料】削減した工数の使い道を決める

無理な営業はいたしません。相談のみでも歓迎です

導入までの流れは?棚卸しから運用開始まで7ステップ

範囲を決めてから運用開始まで、2〜3ヶ月が目安です。

現状の棚卸しから運用開始まで7ステップ

# ステップ 期間 やること
1 業務の棚卸し 1〜2週間 何にどれだけ時間を使っているかを洗い出す
2 問い合わせ内容の把握 1週間 件数と種類を数える
3 委託範囲の決定 1週間 出す業務と残す業務を確定する
4 相見積もりと選定 2〜3週間 同じ条件で3社程度に依頼する
5 契約とルール設計 2週間 エスカレーションの基準を決める
6 引き継ぎ 2〜4週間 手順とナレッジを渡す
7 運用開始と改善 継続 月次で実績を確認する

1と2を飛ばさないでください。ここを飛ばすと、範囲を決められず、見積もりも比較できません。

引き継ぎでつまずく会社が多い

ステップ6の引き継ぎでは、手順が担当者の頭の中にしかなく、外注先に渡せないことが壁になります。

引き継ぎで渡すもの 用意されていないことが多い
対応手順書 ほぼない
過去の問い合わせ履歴 メールに散らばっている
システムの構成図 更新が止まっている
ベンダーの連絡先一覧 個人のアドレス帳の中

4つとも、外注を決める前から作り始めてください。引き継ぎの段階で作ろうとすると、そこで1〜2ヶ月止まります。

最初の1ヶ月で決めること

運用が始まってから決めようとすると、判断が滞ります。

決めること 決めないと
どこまで外注先に任せるか 毎回こちらに確認が来る
エスカレーションの基準 緊急案件が埋もれる
月次で何を報告してもらうか 実績が見えない
誰が窓口になるか 依頼が分散して管理できない

ここで任せるのは、あらかじめ決めたルールの範囲内での対応です。その都度社内の確認を求めていては、確認の依頼が増えて工数が減りません。

金額や影響範囲で線を引き、その中の対応は任せます。対応表にできない判断は社内に残します。

権限の渡し方の例です。

内容 扱い
パスワード再発行、アカウント作成 ルールに沿って外注先が実施
5万円未満の消耗品の手配 ルールに沿って外注先が実施
ソフトのインストール(承認済み一覧内) ルールに沿って外注先が実施
一覧にないソフトの導入 こちらに確認
権限の変更、退職者のアカウント削除 こちらに確認

上3つを任せるだけで、確認のやり取りが大きく減ります。ここを渡さないと、外注しても工数が減りません。

よくある質問

Q. 情シスと社内SEの違いは何ですか

明確な定義はありませんが、一般に情シスは社内のIT環境全般の運用、社内SEはシステムの開発・改修に近い役割を指すことが多くあります。外注を検討する際は、呼び名より実際の業務内容で範囲を決めてください。

Q. 情報システム部門のアウトソーシングと情シス代行は同じものですか

呼び方が違うだけで、指している範囲はほぼ同じです。「情報システム アウトソーシング」「情シス代行」「IT運用のBPO」なども、実務上は同じ領域を指して使われています。

ただし各社で範囲の切り方が違います。比べるのは名称より、対応業務の一覧です。

Q. ひとり情シスでもアウトソーシングできますか

できます。むしろ効果が大きい領域です。ひとり情シスは休めない構造にあり、その人が抜けると業務が止まります。定型業務を外に出すことで、この構造的なリスクが下がります。

Q. 中小企業でも費用対効果は出ますか

出る場合が多くあります。判断の目安は、情シス担当者の人件費と外注費の比較です。年収500万円の担当者が業務の3割を定型作業に使っているなら、その分の人件費は年150万円相当です。月10万円の外注で同じ範囲をカバーできるなら、費用は年120万円で収まります。

Q. 常駐してもらう必要はありますか

多くの場合、必要ありません。ソフトウェアの問い合わせが中心なら、リモートで足ります。

必要になるのは、PCの物理的な設定や現場での機器トラブルが多い場合です。まずリモートで始め、必要なときだけ訪問してもらう形が一般的です。

Q. 契約後に範囲を変更できますか

多くの場合、可能です。ただし追加費用の単価を契約時に決めておかないと、変更のたびに交渉が発生します。範囲外の作業が出た場合の単価を、あらかじめ確認してください。

Q. セキュリティが不安です。外部に社内システムを触らせて大丈夫ですか

外部に社内システムを触らせるリスクはゼロにはなりません。誰が作業するかを限定し、作業ログを自社でも見られるようにしておきます。再委託の有無と管理範囲も含め、契約で次の3点を確認してください。

確認 なぜ
作業者の範囲が限定されているか 誰が触ったかを追える状態にする
作業ログが残り、こちらから見られるか 事故のときに調査できる
再委託の有無と、その管理範囲 契約した相手以外が入ることがある

あわせて、どの情報をどこまで見せるかを自社で決めておく必要があります。

Q. 途中で内製に戻せますか

戻せます。ただし契約時に引き継ぎの範囲を決めておかないと、対応履歴や手順書が出てこず、実質的に戻せなくなります。契約終了時にデータと手順を返却する条項を、最初から入れておいてください。

まとめ

情シスのアウトソーシングで最初に決めるのは、外に出す範囲です。

残すべき業務は次の7つの基準で判断してください。

# 基準 当てはまったら
1 対応表を作れない判断が含まれるか 性質の基準に数える
2 自社の事情を知らないと決められないか 性質の基準に数える
3 ベンダーとの契約・交渉に関わるか 残す
4 セキュリティの基準を決める役割か 残す
5 未公開の経営情報に触れるか 性質の基準に数える
6 成果を件数や時間で測れないか 性質の基準に数える
7 経緯が属人的で文書化されていないか 性質の基準に数える(先に文書化する)

契約・交渉とセキュリティの基準は残します。対応表にできない判断も切り分けて社内に残し、業務全体を出すかは性質の基準5つで決めます。3つ以上当てはまれば外に出しません。

残す業務が決まったら、空いた工数を企画や要件定義にどう配分するかを決めます。「空いたら取り組む」で終わらせず、何をいつまでに進めるかまで契約前に定めてください。

効果は、年間の削減工数を1,920時間で割った人数相当で測ります。この数字があって初めて、翌年の予算が通ります。

進める順序をもう一度整理します。

順 やること
1 業務を洗い出し、工数を測る
2 7つの基準で、残す業務を決める
3 残り(=出す業務)を一覧で確定する
4 同じ条件で相見積もりを取る
5 空いた工数の行き先を決める
6 契約する

5を6より先にやってください。契約してから考えると、空いた時間は既存業務に吸収されます。

》【無料DL】『生成AI 社内利用ガイドライン 策定の手引き』|条文7条の雛形つき

ACCELPORT
Accelport株式会社 編集部

業務の見極めから実装の進行管理までを引き受ける「社外AX部」を提供しています。現場で得た知見をもとに記事を制作しています。

この記事をシェア
X (Twitter) LINE
SERVICE社外AX部御社のAX推進部を、外から担う。見極めから実装の進行管理まで。›

AI導入が成果につながらない原因を、60分で整理します

「効率化はしたが人は減っていない」という状態には、必ず構造的な原因があります。御社の状況をうかがったうえで、どこから手をつけるべきかをその場でお伝えします。

無理な営業はいたしません。相談のみでも歓迎です

相談内容をうかがい、優先順位を整理してお返しします

60分の無料相談を申し込む