BPO・外注戦略

PMO支援はどこまで頼める?費用相場と残す6つの判断

目次

プロジェクトが計画どおりに進まない。進捗を追う人がいない。PMは実務で手一杯で、全体を見る余裕がない。

こうした状態でPMO支援を検討し始めると、最初にぶつかるのが「どこまで頼めるのか」という問いです。支援会社のサイトを見ても、書いてあるのは提供できることだけで、頼めないことは書かれていません。

最初に決めるのは、頼む範囲です。会社を選ぶのはその後です。

この記事では、外に出せる業務と社内に残すべき6つの判断を切り分け、費用の考え方と支援会社の選び方まで整理します。あわせて、AI導入プロジェクトのPMOで従来型と何が変わるのかも扱います。

なお本記事は、システム開発全般ではなくAI・AX推進プロジェクトのPMOを前提に書いています。基幹システムの導入やスクラッチ開発の進行管理とは論点が異なる部分があるため、そこは明示して分けます。

PMOをどこまで外に頼めるか迷っている方へ

業務の見極めから実装の進行管理まで、
社外AX部が担います

  • 手段を選べる立場から入る。特定のツールを売っていません
  • 実装の進行管理まで引き受けます。提案だけで終わりません
  • 置き換えない方がよいという結論も、そのままお出しします
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PMO支援はどこまで頼める?管理は出せて、判断は出せない

PMOは、プロジェクトマネージャーの代わりではありません。

ここを取り違えたまま契約すると、期待した動きが返ってこず「高い議事録係になった」という結果になります。まず何を代わりにやってくれるのかを確認します。

PMO支援とは何を代わりにやってくれるのか

PMO支援とは、プロジェクトを進めるための管理業務を外部が引き受ける形態です。

引き受ける業務 具体的な中身
進捗の管理 タスクの洗い出し、遅延の検知、リカバリ案の提示
課題とリスクの管理 一覧の維持、期限の設定、放置されている項目の指摘
会議体の運営 議題の設定、資料の準備、決定事項の記録と追跡
情報の集約 関係者への共有、報告資料の作成
ルールの整備 進め方の標準化、テンプレートの用意

共通しているのは、どれも「決めたことを実行に移す」ための業務だという点です。何を決めるかは含まれていません。

もともとPMOは、社内に置く組織を指す言葉でした。複数のプロジェクトを横断して見て、進め方を標準化する部署です。その機能を外から借りるのがPMO支援にあたります。

そのため、依頼の単位は人ではなく機能になります。「1人ください」と頼まず、「この会議とこの管理表を引き受けてください」と伝える。この形で依頼すると、担当者が交代しても引き継ぎが効きます。

PMとPMOの役割分担

ここでは、発注する側から見た分担で整理します。

PM PMO
責任 プロジェクトの成否 進め方の品質
決めること 優先順位、要件、予算配分 会議の頻度、報告の形式
動き方 判断して指示する 状況を集めて可視化する
外に出せるか 社内に必要 外に出せる

PMがいない状態でPMOだけを入れても、プロジェクトは進みません。判断する人がいなければ、集まった情報は行き場を失います。

PMOを入れて解決するのは「PMが忙しすぎて管理まで手が回らない」という状態です。「PMがいない」という状態は、別の手当てが要ります。

見分け方は、社内に決められる人がいるかどうかです。役職ではなく、予算と優先順位を決める権限を持っているかで判断してください。その人が兼務で手一杯なら、PMO支援が効きます。そもそも決める人が決まっていないなら、先に決めてください。ここが空いたまま外部を入れると、報告書だけが積み上がります。

PMOの種類は3つ。支援型・コントロール型・指揮型で関与の深さが変わる

同じPMOでも、どこまで踏み込むかで3つに分かれます。

種類 引き受ける動き 進め方を決めるのは
支援型 情報を集めて可視化する。会議の運営と資料の作成 自社
コントロール型 標準やルールを定め、守られているかを確認する ルールはPMO、中身は自社
指揮型 進め方そのものに指示を出す PMO

外部に頼めるのは、支援型とコントロール型までです。指揮型は社内のメンバーに直接指示を出す形になるため、外部の会社に丸ごと任せる契約とは相性がよくありません。

どれを求めているかで費用も変わります。支援型は参加する会議の本数で決まり、コントロール型は標準を作る初期の工数が上乗せされる。見積もりを依頼する前に、支援型とコントロール型のどちらを頼むのか決めてください。ここが曖昧なまま話を進めると、各社が別々の型で見積もりを出してきて比較になりません。

支援会社によって範囲が違う

同じ「PMO支援」でも、実際に引き受ける範囲は会社ごとに大きく違います。

上位に出てくる支援会社8社のサービス内容を並べると、進捗管理は8社の多くが含む一方、ベンダーとの交渉に向けた情報整理や要件定義の支援は分かれます。

業務 含む会社が多い 分かれる
進捗・課題の管理 ○
会議体の運営 ○
報告資料の作成 ○
ベンダーとの交渉に向けた情報整理 △
要件定義の支援 △
品質基準の策定 △
ツールの選定 △

「PMO支援」という言葉だけで比較しないでください。同じ名前で中身が違う以上、範囲を並べて比べる以外に方法はありません。

PMO支援の範囲は会社ごとに違う。進捗管理は共通、交渉の情報整理と要件定義は分かれる

頼めないこと

範囲の広い会社に頼んでも、次の3つは引き受けてもらえません。

頼めないこと なぜか
意思決定 予算と責任を持つのは自社。外部は決められない
社内の利害調整 部門間の力関係を知らない人間が入っても動かない
要件の中身の判断 その業務を実際にやっている人でないと妥当性を判断できない

これらを「なんとかしてほしい」と依頼すると、支援会社は安全側に倒れやすくなります。「念のため社内で確認をお願いします」が増え、結局こちらの工数が増えるという結果になります。

頼めないことが分かっていれば、契約前に自社側の体制を用意できます。決める人を1人立て、週に1時間その人の時間を確保する。これだけで、差し戻しの回数は大きく減ります。

PMO支援が要らないプロジェクトもある。分かれ目は3つ

外部のPMOを入れなくても回るプロジェクトがあります。判断の材料は3つです。

条件 PMO支援が効く 要らない
関係する部門の数 3つ以上 1つで完結する
期間 半年を超える 3ヶ月以内
同時に動くプロジェクト 複数ある 1本だけ

3つとも右の列に当てはまるなら、PMが自分で管理できる範囲に収まります。ここに外部を入れても、報告のための作業が増えるだけで終わる。

入れても失敗するのは、決める人が空いているときです。部門が多く期間も長いのに、判断する人が決まっていない。この状態でPMOを入れると、整理された論点だけが積み上がって止まります。大規模だから必要、という順番で考えないでください。

PMO支援で社内に残すべき判断は何か?外せない6つ

頼めない業務が分かったら、それを社内の誰が担うかを決めます。外部に管理を任せても、会議に出て案を読み、決める時間は必要です。社内に残す6つの判断を順に確認します。

社内に残す6つの判断。予算・要件・調整・契約・撤退・そして残す判断そのもの

予算と優先順位の決定は残る

何にいくら使うか、どれを先にやるかは、外に出せません。

3つの案を比べるなら、まずPMOに費用と期間を並べてもらいます。必要な人手と失敗したときの影響も、比較に使う項目です。整理を頼むときは、この4つをこちらから指定してください。

その材料からどの案を選ぶかは、事業の方針に依存します。事業として取りたいリスクの大きさを知らない相手に選ばせると、最も無難な案に印が付きます。選択肢の整理は頼めても、何を優先するかは自社で決めます。

要件の中身の判断は残る

「この機能は必要か」「この例外は対応すべきか」という問いに、外部は答えられません。

答えようとすると、対応する側に倒れやすくなります。落とした場合の責任を負えないためです。結果として要件が膨らみ、費用と期間が伸びます。

情シスのアウトソーシングでも、判断を外部に任せると同じ構造になります。要件が膨らむのを避けるには、その業務を知っている人が例外への対応の可否を決めます。

社内の利害調整は残る

部門をまたぐプロジェクトでは、どこかの部門に負担が偏りやすくなります。

作業が増える部門、権限が減る部門、慣れたやり方を変えられる部門。この調整は、社内の力関係と過去の経緯を知らないと進みません。

外部のPMOにできるのは、調整が必要な論点を洗い出して見えるようにするところまでです。テーブルに着かせるのは自社の役割になります。

ここを外部に投げると、会議の招集メールだけが飛び、誰も出てこないという状態になります。招集する権限がないためです。論点の整理はPMO、招集は自社。この分け方をしておくと、止まっている理由がはっきりします。

打ち合わせで論点を整理する様子

ベンダーとの契約・交渉は残る

PMOに交渉を任せると、利益相反が起きる場合があります。

支援会社が特定のベンダーと取引関係にあるケース、あるいは支援会社自身が開発も請け負っているケースです。この状態で見積もりの妥当性を判断させると、判断が偏ります。

契約と交渉は発注者が行い、PMOには比較のための情報整理を頼む。この分け方が安全です。

情報整理として頼めるのは、見積もりの項目を揃えて並べることと、過去の類似案件との差分を出すことです。抜けている前提の指摘も頼めます。この3つを判断材料にして、発注者が契約先を選びます。「この会社が妥当です」という結論まで求めると、責任の所在があいまいになります。

撤退の判断は残る

PMOは止める判断をしません。

止めればその支援も終わるためです。構造としてそうなります。進め方の改善案は出ますが、「このプロジェクトは中止すべきです」という提案は出てきません。

止める基準は契約前に自社で決めておきます。何が達成できなければ終了とするのか、いつ判断するのか。ここを決めずに始めると、成果が出ないまま契約だけが続きます。

決めておく内容は3つです。判断する時期、達成できていなければ止める水準、そして判断する人。このうち最後が抜けやすい。予算を持つ責任者を名指しで決めておかないと、誰も言い出さないまま次の四半期に入ります。

残す判断がゼロなら、PMOではなく請負である

6つ目は、ここまでの5つを社内に残したうえで、外に出す管理業務の範囲を決めることです。ここまでの判断も含めてすべて外に出そうとしているなら、それはPMO支援の話ではありません。

状態 実態
判断を残し、管理を出す PMO支援
判断も含めて全部出す 開発の請負、または事業の委託

全部お任せください、という提案には注意が必要です。引き受けられるはずのない範囲を含んでいるか、実際には判断を求められて差し戻しが続くかのどちらかになります。

判断を残すことは、手間を引き受けることでもあります。会議に出て、案を読み、決める時間が要る。この時間を確保できないのであれば、そもそもプロジェクトを始める時期ではありません。PMOは判断の手間を減らしますが、判断そのものを肩代わりはしません。

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PMO支援の費用相場は?公開している会社は8社中0社

先に事実を1つ書きます。

PMO支援の費用を公開している会社は、ほとんどありません。検索上位に出てくる8社のうち、料金を明示しているのは0社でした。

そのため、この章では相場の一覧を出さず、自社で見積もりを比較できる形に整える方法を書きます。

費用の決まり方

PMO支援の費用は、次の3つで決まります。

要因 費用が上がる条件
関与の深さ 常駐に近いほど高い。週1回の定例参加だけなら低い
会議体の数 参加する会議が多いほど、拘束時間が伸びる
成果物の量 報告資料の種類と頻度。週次と月次では差が出る

見積もりを取るときは、この3つを揃えて提示します。揃えずに依頼すると、安く見える見積もりが単に関与を浅く取っているだけ、ということが起きます。

特に会議体の数は効きます。週次の定例が3本ある案件と1本の案件では、同じ「進捗管理」でも拘束時間が3倍違う。参加してほしい会議を一覧で渡すと、見積もりの精度が上がります。

見積もり依頼時に渡す情報

比較できる見積もりを得るために、次を揃えて渡します。

渡す情報 なぜ必要か
プロジェクトの規模と期間 工数の基礎になる
関係する部門の数 調整の負荷が変わる
既にある会議体の一覧と頻度 拘束時間の試算に使う
求める成果物と提出頻度 作業量に直結する
現在の進め方の課題 支援の重点が変わる

3つ目は、会議体を数えていなければ手元にありません。検討を始めた時点で、定例会議の一覧を作ってください。

一覧に書くのは、会議名と頻度。それに参加人数と所要時間です。作ってみると、同じ議題を扱う会議が2つあることに気づく場合があります。この整理だけでも効果が出ることがあり、そもそも外部が要るのかという判断材料にもなります。

PMO支援の業務委託は準委任が基本。完成義務はない

業務委託と一口に言っても、準委任か請負かで支援会社が負う責任は変わります。

準委任 請負
完成義務 ない ある
何に対して払うか 業務の遂行 成果物の完成
収益の認識 期間で認識 引き渡しで認識
向く場面 進め方が固まっていない 成果物が明確

PMO支援の多くは準委任で、完成義務はありません。「プロジェクトを成功させる」という約束は、契約上は存在しません。

契約書では、料金メニューとは別に契約形態を確認してください。月額固定だから準委任という対応関係はないためです。

見積もりの内容を確認する

内製・派遣・PMO支援を同じ物差しで比べる

「外注は高い」という判断は、比較の仕方によって変わります。

年間の費用を比べるために、まず各手段で計算に使う項目を確認します。表には、年額の計算項目と立ち上がりの目安を示します。PMO支援の表の期間は稼働後です。相談から稼働までの期間も含めて比べてください。

手段 年額を出す際に使う情報 立ち上がりの目安 抜けたときの影響
社内で採用する 年収+社会保険料などで年収の1.3倍 3〜6ヶ月 業務が止まる
派遣を使う 時給×稼働時間 1〜2ヶ月 交代で継続可能
PMO支援を頼む 契約による 2週間〜1ヶ月 会社として継続

採用の場合、年収600万円の人を1人雇うと、実際の負担は年780万円前後になります。ここに採用にかかる費用と、立ち上がりまでの期間を足します。

この計算をしないまま「外注は高い」と結論を出さないでください。

もう1つ見落とされやすいのが、立ち上がりまでの期間です。採用で3ヶ月から6ヶ月かかるあいだ、プロジェクトは止まったままか、現状のまま進みます。この期間の損失を費用に含めて比べてください。半年遅れる前提であれば、外部に頼む費用の方が小さくなる場合があります。

当社の場合

参考として、当社の価格を公開しておきます。

メニュー 月額 内容
AX壁打ち 5万円 月1回、進め方の相談
ライト 30万円 月20時間、進行管理と資料作成
AXスポット 50〜80万円 期間を区切った立て直し
CAIO代行 100万円〜 推進の責任者を外から担う
専属 200万円〜 部門として引き受ける

(出典:Accelport 社外AX部 サービス案内)

先ほどの3つの種類でいうと、ライトとAXスポットは支援型です。CAIO代行と専属は、表に示したとおり責任者や部門を引き受けるメニューで、PMOの3分類とは別に扱います。

メニューを選ぶときは、まず必要な範囲を書き出してください。当社では月100万円以下の予算で部門全体を引き受けることはできないため、その場合は範囲を絞るか他の手段を検討することになります。必要な範囲から選ぶほうが、金額を先に決めて範囲を削るより安く収まります。

PMO支援会社はどう選ぶ?契約前に見る5つの点

範囲と予算が決まったら、支援会社の対応領域や担当者、成果物を比べます。契約前に確認する項目も順に整理します。

PMO支援会社とコンサルは買うものが違う。進め方か、答えか

比較を始める前に、頼む相手の種類を決めます。

PMO支援会社 コンサルティング会社
売っているもの 進め方の運用 課題の分析と提言
主な成果物 課題管理表、進捗報告 調査結果、施策の提案
期間 プロジェクトが続くあいだ 数ヶ月で区切る
費用の決まり方 稼働時間 成果物の範囲

何を決めればよいか分からない段階なら、コンサルです。決まっているのに進まないなら、PMO支援が合います。

この2つを同じ会社に頼む場合は、注意が要ります。提言した側が自分の提言の進み具合を評価することになるためです。分けられるなら分ける。分けられないのであれば、何が達成できれば成功とするのかを、自社側で先に決めておいてください。

対応できるプロジェクトの種類

PMO支援と一口に言っても、得意な領域は分かれます。

領域 求められること
基幹システムの導入 業務要件の知識、ベンダー管理
Webサービスの開発 開発プロセスの理解
AI・生成AIの導入 検証の設計、効果測定、データの扱い
全社のDX推進 部門横断の調整、優先順位づけ

自社のプロジェクトと同じ領域の実績があるかを確認してください。領域が違うと、論点そのものを知らないまま進行管理だけが行われます。

実績を確認するときは、「その案件でつまずいたのはどこでしたか」と聞いてみてください。件数に加えて案件の中身を聞くことで、自社と同じ領域を経験しているかを確かめられます。

誰が来るのかを確認する

提案の場に出てくる人と、実際に手を動かす人が違うことがあります。

確認すること
実際に担当する人の経験年数と、直近の担当案件
提案の場に出た人が、稼働にどれだけ関わるか
担当が交代する場合の引き継ぎの取り決め
何人体制か。1人か、チームか

経歴書を出してもらってください。出せない、あるいは「アサインは契約後に決まります」という回答であれば、品質は運任せになります。

見るのは在籍年数ではなく、担当した案件の規模と部門数です。1部門で完結する案件しか経験がない人に、5部門をまたぐプロジェクトの調整は任せられません。

体制も聞いておきます。1人で入るのか、複数人のチームで入るのか。1人の場合、その人が抜けた時点で状況が分からなくなるリスクがあります。交代時に何を引き継ぐかを、契約前に決めてください。

なお、雇用形態を公式サイトに明記している会社はほとんどありません。PMO会社13社を比較|費用と誰が来るかで選ぶで13社の記載を1社ずつ確認したところ、明記していたのは1社でした。会社を選んだつもりでも、来るのは人です。

成果物の定義

何が納品されるのかを、契約前に文書で確認します。

成果物 確認する内容
議事録 いつまでに、どの形式で
課題管理表 更新の頻度、誰が更新するか
進捗報告 週次か月次か、宛先は誰か
リスクの一覧 洗い出しの方法、見直しの頻度

議事録を出すだけの支援になっていないかを見てください。記録は残るものの、プロジェクトは前に進みません。

見分け方は簡単です。成果物の一覧に「次に何をするかの提案」が入っているかどうか。入っていなければ、それは記録係の契約です。金額に見合うかを、この観点で判断してください。

PMO支援会社を比べる5点と、それぞれで聞く一言

契約前に必ず確認する5項目

見積もりが出てきたら、この5つを確認します。

  • 対応範囲の一覧(含むものと含まないものの両方)
  • 実際に担当する人の経歴と稼働率
  • 成果物の種類と提出の頻度
  • 契約期間と、途中解約の条件
  • 契約終了時に引き継ぐものの範囲

最後の項目が抜けがちです。課題管理表と進め方のルールが自社に残らないと、契約を終えた瞬間にプロジェクトの状態が分からなくなります。

提案書を読むときは、この5項目が書かれているかを先に探してください。書かれていない項目は、提案の場で口頭で聞いて議事録に残す。提案書に載っていない約束は、担当者が代わった時点で消えます。

社内PMOを育てる前提で頼めるか

出口を決めずに始めると、外れられなくなります。

支援を受けながら社内に人を育てるのか、それとも継続して外部に任せるのか。どちらを選ぶかで、契約時に決めておく内容が変わります。

方針 契約時に決めること
社内で内製化する 引き継ぐ期限、育成の対象者、移管する業務の範囲
継続して外部に任せる 担当交代のルール、単価の見直し時期

育成を前提にする場合、それを契約に書いてください。口頭の合意だけでは、日々の実務が優先されて後回しになります。

引き継ぐ際には、管理業務で使ってきた基準も残します。課題の優先順位をどう付けたか、どの時点で誰に報告したかを伝えてもらいます。この基準が社内に残っていれば、外部が抜けても運用は続きます。成果物のファイルだけでは、そこまで読み取れません。

引き継ぎの場を月に1回、実務とは別に取ってください。日々の会議の中で伝わるのを期待しても、伝わらないことがあります。

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AI導入プロジェクトのPMOは何が違う?要件が動く前提で進める

ここから先は、AI・生成AIを使うプロジェクト特有の話です。

従来型のシステム開発とは前提が違うため、同じ進め方をすると失敗します。

従来型のPMOとAI案件のPMOで変わる4点

要件が動く前提で進める

従来型は、要件を固めてから作ります。AIは、試してから決まります。

従来型 AI案件
要件 先に固める 検証しながら決める
精度 仕様どおりに動けば合格 どこまで合えば使えるかを決める必要がある
スケジュール 工程で管理 検証の回数で管理

要件を固めてから着手する進め方を持ち込むと、着手できません。何ができるか分からないものの要件は書けないためです。

PMOに求めるのは、検証の記録を残し、決まったことを確定させていく運用になります。

具体的には、何を試して何が分かったかを1件ずつ残し、次に試すことを決める場を回す。この積み上げが要件になっていきます。工程表を引いて進捗率を出す管理は、AI案件では機能しません。分母が決まっていないためです。

効果測定を先に設計する

「月40時間の削減」という報告では、投資判断ができません。

年間の労働時間で割って、人数に換算します。

“`
月40時間 × 12ヶ月 = 年480時間
年480時間 ÷ 1,920時間 = 0.25人相当
“`

1,920時間は、1日8時間で年240日働いた場合の時間です。0.25人相当という数字であれば、人件費と比べられます。

測り方を決めるのは、始める前です。終わってから決めると、都合のよい数字が選ばれます。

止める基準を最初に決める

検証を始める前に、終わりの条件を決めます。

決めること 例
達成できなければ止める水準 精度が一定に届かない場合
判断する時期 開始から3ヶ月後
判断する人 予算を持つ責任者

AI案件では、検証を続けるうちに要件が決まっていきます。そのため検証の記録とあわせて、この表の水準と時期に照らして継続を判断します。終わりの条件がなければ、検証が延々と続きます。

止める基準は、達成できなかった場合の次の手とセットで決めておくと運用しやすくなります。別の業務で試すのか、手法を変えるのか、投資自体をやめるのか。行き先が決まっていれば、止める判断そのものへの心理的な抵抗が下がります。

検証の進め方を確認する

セキュリティとデータの扱いを誰が決めるか

生成AIを業務に使う場合、どの情報をどこまで入れてよいかを決める必要があります。

これはPMOの仕事ではありません。情報の分類は自社の判断です。

決めること 誰が
社外のサービスに入れてよい情報の範囲 自社
利用してよいツールの一覧 自社
違反があった場合の扱い 自社
ルールに沿って運用されているかの確認 PMOに頼める

ルールがないまま検証を始めないでください。後から制限をかけると、動いていたものを止めることになります。

決める単位は、情報の種類ごとです。顧客の個人情報、取引先との契約内容、社内の人事情報。この3つを外部のサービスに入れてよいかを、それぞれ先に決めておきます。

PMOに頼めるのは、決まったルールが守られているかを定期的に確認する部分です。ルールそのものを作る作業は、法務と情報システム部門が担います。

PMO支援の導入までの流れは?相談から稼働まで約2ヶ月

相談から稼働開始まで6ステップ

# ステップ 期間の目安 やること
1 現状の整理 1〜2週間 会議体の一覧、課題の洗い出し
2 範囲の決定 1週間 出す業務と残す判断の切り分け
3 見積もりの取得 2週間 3社程度に同じ情報を渡す
4 比較と選定 1週間 範囲、担当者、成果物で比べる
5 契約 1〜2週間 契約形態と終了時の取り決め
6 稼働開始 — 最初の1ヶ月は立ち上げ期間

相談から稼働まで、おおむね1.5〜2ヶ月かかります。急ぎであっても、2と5は省かないでください。

2を省くと、稼働後に「それは範囲外です」が続きます。5を省くと、終わるときに何も残りません。急ぐのであれば、3の見積もり取得を2社に減らす方が影響は小さくて済みます。

1の現状の整理は、外部に頼まず自社でやってください。ここを支援会社に任せると、その会社の型に合わせた整理が出てきます。比較のための材料としては使えません。

4の比較では、提案の内容より前に範囲を並べます。範囲が違う提案は、金額を比べても意味がないためです。

最初の1ヶ月で決めること

最初の1ヶ月に進め方を固めるため、稼働前から次の項目を整理しておきます。効果測定の指標と止める基準は、前章のとおり開始前に決めます。

稼働前から整理すること 決めないと
報告の宛先と頻度 資料が誰にも読まれない
課題の優先順位づけの基準 全部が「高」になる
エスカレーションの経路 判断待ちで止まる
効果測定の指標 続けるかどうか判断できない
止める基準 成果が出ないまま続く
使う管理ツールと、契約終了後に誰が持つか 蓄積したナレッジが社外に残る

最初の1ヶ月は、整理した項目をもとに進め方を固める期間です。ここを飛ばすと、3ヶ月目に同じ議論を最初からやり直すことになります。

この表で決めた内容は、1枚の文書に収めて関係者に配ってください。口頭で共有すると、参加していない人に伝わりません。プロジェクトが長引くほど、途中から入る人が増えていきます。

\最初の1ヶ月で決めることを、一緒に洗い出します/

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よくある質問

Q. PMOとPMの違いは何ですか

責任の範囲が違います。PMはプロジェクトの成否に責任を持ち、判断して指示します。PMOは進め方の品質に責任を持ち、状況を集めて見えるようにします。PMがいない状態でPMOだけを入れても、判断する人がいないため進みません。

Q. 小規模なプロジェクトでもPMO支援は必要ですか

必要とは限りません。関係する部門が1つで、期間が3ヶ月以内であれば、PMが自分で管理できる範囲に収まる場合があります。部門をまたぐ場合、または半年を超える場合に検討してください。

Q. 費用の相場はいくらですか

公開している会社がほとんどないため、相場という形では答えられません。費用は関与の深さと会議体の数、それに成果物の量で決まります。同じ条件を提示して複数社から見積もりを取り、比較してください。

Q. 社内でPMOを立ち上げるのと、外部に頼むのはどちらがよいですか

立ち上げの速さが違います。社内で育てる場合は経験を積む期間が要り、外部に頼む場合も、相談から稼働まではおおむね1.5〜2ヶ月です。稼働後の立ち上がりは2週間から1ヶ月が目安です。急ぎであれば外部から始め、並行して社内に引き継ぐ形が現実的です。その場合、引き継ぎの期限を契約に書いてください。

Q. 支援会社が提案してきた進め方に納得できない場合はどうすればよいですか

理由を聞いてください。過去の案件でうまくいった型をそのまま持ち込んでいるだけ、というケースがあります。自社の事情に合わない部分を具体的に伝えれば、調整は効きます。調整に応じない場合、その会社は自社のやり方を売っているのであって、支援を売っていません。

Q. 契約の途中で範囲を変更できますか

契約を変更すれば可能です。ただし追加費用の単価を契約時に決めておかないと、変更のたびに交渉が発生します。範囲外の作業が出た場合の単価を、あらかじめ確認してください。

Q. PMO支援のメリットとデメリットは何ですか

メリットは2つあります。進め方の管理だけを切り出せることと、立ち上がりが2週間から1ヶ月と速いことです。デメリットも2つあります。判断は社内に残るため会議に出る時間は減らないこと。それに、契約が終わったときに進め方のノウハウが社内に残らない場合があることです。引き継ぐ範囲を契約書に書けば、後者は避けられます。

Q. AI導入のPMOは、通常のPMOと何が違いますか

要件が動く前提で進める点が最も違います。従来型は要件を固めてから作りますが、AIは試してから何ができるかが決まる。あわせて、効果測定と止める基準を開始前に決めておく必要があります。この2つを決めずに始めると、検証が終わらないまま費用だけが積み上がっていきます。

まとめ

PMO支援を検討するとき、最初に決めるのは頼む範囲です。

社内に残すべき判断は6つあります。

# 残す判断 外に出すと
1 予算と優先順位の決定 最も無難な案が選ばれやすい
2 要件の中身の判断 対応する側に倒れやすい
3 社内の利害調整 力関係を知らないため動かない
4 ベンダーとの契約・交渉 利益相反が起きうる
5 撤退の判断 止める提案は出てこない
6 1〜5を残したうえで出す範囲を決めること 1〜5も出すなら請負か委託で、PMOとは別

費用は公開している会社がほとんどありません。関与の深さと会議体の数、それに成果物の量を揃えて提示し、複数社を同じ条件で比べてください。

AI導入プロジェクトの場合は、要件が動く前提で進め、効果測定と止める基準を開始前に決めます。

順 やること
1 定例会議の一覧を作る
2 6つの判断のうち、外に出そうとしているものがないか確認する
3 同じ条件で3社から見積もりを取る
4 効果測定の指標と、止める基準を決める

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Accelport株式会社 編集部

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